『不治の病のフリをする妹のために尽くしてきましたが、隣国の薬師王に「君は健康、妹は嘘つき」と暴露されたので、私は自由になります』

『不治の病のフリをする妹のために尽くしてきましたが、隣国の薬師王に「君は健康、妹は嘘つき」と暴露されたので、私は自由になります』

『自由になるということ』

「お姉様」と呼ばれるたび
私は少しずつ削れていった

優しさは美しいものだと
そう信じていたから

痛みも 苦しさも
当たり前の顔をして受け入れた

それが愛だと
教えられてきたから

でも――

誰かのために消えていくことは
愛ではなかった

ただの、消耗だった

光は最初からそこにあったのに
私はずっと、目を閉じていただけ

差し出された手は
温かくも優しくもなかったけれど

嘘がなかった

「君は健康だ」
たったそれだけの言葉が

鎖を断ち切った

もう、振り返らない

泥の中で伸ばされた手も
涙で濡れた声も

届かない場所へ

私は歩いていく

自分の足で
自分の呼吸で

食べること
眠ること
笑うこと

それがこんなにも
尊いものだと知ったから

誰かのためではなく
誰かに奪われるのでもなく

ただ、ここに在るために

私は生きる

光の中で

ようやく、名前を持ったように

それが――

私の「自由」だ

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