皇太子殿下は、幼なじみの頬しか触らない

後宮には、美しい妃が大勢いる。
けれど皇太子・曜は、誰にも触れないことで有名だった。

――ただ一人を除いて。

幼なじみの侍女・翠玉。
彼女の頬だけは、毎日のようにつつき、摘まみ、抱き寄せる。

「殿下、見られてます!」

「構わない」

後宮中が噂する。

『皇太子は侍女に溺れている』

けれど翠玉はまだ知らない。

それが幼なじみの距離ではなく、皇太子の独占欲だということを。
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