1 / 50
プロローグ
しおりを挟む
桜舞う始業式。
この言葉に胸躍るのは、おそらく今年この風清高校に入学してきた生徒たちだろう。
新しいブレザーに身を包み、新しい校門をくぐり抜け、新しい青春を始める。
かたや俺こと萩原翔太にとっては二度目となるイベントなので、これといって特に新鮮さを感じないのが正直なところ。
いやまあクラスのメンバーが一新されたことには新鮮さを多少感じるが、それでも知っている顔ぶれが何人かいるので去年の時のような寂しいアウェイ感はない。
だからこそそんな自分が願うことは、今年も学校生活と家業が平和的かつ順調に……。
――パシンっ!
教室の自分の席に座りながら心の中で今年度の抱負をボヤいている時だった。
突然頭上から子気味良い音が聞こえてきて、俺は驚き慌てて顔を上げる。
「い、いきなりビンタせんでもええやろっ!」
そんな狼狽えた声を上げたのは、俺の席の隣にいつの間にか立っていたクラスメイトの男子だ。
そして左頬を押さえている彼の視線の先にいたのは、見覚えのない女子生徒が一人。
さっきまで楽しげで和気藹々としていた教室の空気は一変、まるでお通夜のように静まり返っているではないか。
「気安く触ろうとしないで」
静かな教室の中に響いた、氷柱のような鋭い一声。
艶やかな黒髪が印象的な美少女とも呼べる彼女は、そんな言葉だけを言い残すとスタスタと窓際の方へと歩き去ってしまう。
わずか一分にも満たない衝撃的な出来事。
そんな光景を目の当たりにして俺はゴクリと唾を飲み込むと、再び心の中で思うのである。
なるほど……どうやらこれは波瀾万丈な一年になるのかもしれない、と。
この言葉に胸躍るのは、おそらく今年この風清高校に入学してきた生徒たちだろう。
新しいブレザーに身を包み、新しい校門をくぐり抜け、新しい青春を始める。
かたや俺こと萩原翔太にとっては二度目となるイベントなので、これといって特に新鮮さを感じないのが正直なところ。
いやまあクラスのメンバーが一新されたことには新鮮さを多少感じるが、それでも知っている顔ぶれが何人かいるので去年の時のような寂しいアウェイ感はない。
だからこそそんな自分が願うことは、今年も学校生活と家業が平和的かつ順調に……。
――パシンっ!
教室の自分の席に座りながら心の中で今年度の抱負をボヤいている時だった。
突然頭上から子気味良い音が聞こえてきて、俺は驚き慌てて顔を上げる。
「い、いきなりビンタせんでもええやろっ!」
そんな狼狽えた声を上げたのは、俺の席の隣にいつの間にか立っていたクラスメイトの男子だ。
そして左頬を押さえている彼の視線の先にいたのは、見覚えのない女子生徒が一人。
さっきまで楽しげで和気藹々としていた教室の空気は一変、まるでお通夜のように静まり返っているではないか。
「気安く触ろうとしないで」
静かな教室の中に響いた、氷柱のような鋭い一声。
艶やかな黒髪が印象的な美少女とも呼べる彼女は、そんな言葉だけを言い残すとスタスタと窓際の方へと歩き去ってしまう。
わずか一分にも満たない衝撃的な出来事。
そんな光景を目の当たりにして俺はゴクリと唾を飲み込むと、再び心の中で思うのである。
なるほど……どうやらこれは波瀾万丈な一年になるのかもしれない、と。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
13
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる