個人情報を漏洩されただけなのに 〜現時点で二次被害は確認されておりません〜
お詫びのメールは、最後まで読まなかった。漏れても、何も起きなかったからだ。
28歳の会社員・木村航のスマホが、夜中の2時14分に震え出す。メール、通販サイト、SNS、ネット銀行。パスワードが次々に書き換えられ、残高は0円になった。問い合わせ窓口のAIは繰り返す。「ご本人様確認のため」──確認コードは、もう彼の手元には届かない。
朝には頼んでもいない荷物が玄関に並び、会社に行けば、自分の免許証の画像を添えた殺害予告が待っていた。投稿者の名前は、木村航。
会社を追われ、警察には「書き込んでいないという証明もない」と言われ、アパートの前には配信者が立つ。
航はスマホを捨て、母が持たせてくれた1万円札だけを手に、5年帰っていない実家へ向かう。そこなら、自分を自分だと言ってくれる人がいるはずだった。
2026年秋。誰の身にも起こりうる、乗っ取りの悲劇。
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【本作について】
※本作は「小説家になろう」「カクヨム」「アルファポリス」「エブリスタ」「ノベルアップ+」「原石航路」に同時掲載しています。
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28歳の会社員・木村航のスマホが、夜中の2時14分に震え出す。メール、通販サイト、SNS、ネット銀行。パスワードが次々に書き換えられ、残高は0円になった。問い合わせ窓口のAIは繰り返す。「ご本人様確認のため」──確認コードは、もう彼の手元には届かない。
朝には頼んでもいない荷物が玄関に並び、会社に行けば、自分の免許証の画像を添えた殺害予告が待っていた。投稿者の名前は、木村航。
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