黒い★彡彗星

黒い★彡彗星

1
SF 連載中 長編 R15
これは、ドッジボールである。 ただし、外野はない。 当たった者は、外に出るのではなく──死ぬ。 二〇〇七年六月。誰もいない二軍のグラウンドで、プロ野球二年目の金松亮は、黒いスーツの男に声をかけられた。  ──XV1だな。 意味は分からない。なのに、行かなければならないと思った。なぜ、と疑う機能ごと、頭から抜き取られていた。 連れて行かれたアリーナに集められていたのは、日本中から選び抜かれた二百人のトップアスリート。その中には、甲子園の決勝で投げ合った親友・野上雅人の姿もあった。 黒スーツの男が、事務的な声で告げる。  ──諸君は本来、そこにいるはずのない人間だった。  ──諸君が手にした記録、契約、栄誉。そのすべては、我々が与えたものだ。  ──だから今日、回収に来た。 六歳の夏。亮は空き地で、ひとりの少年に出会っている。 グード。自分を「キデ星から来た」と名乗った、姿の見えない同居人。 あの日から十四年。血の滲んだ指も、泣いた夜も、あの日のマウンドも。 すべてが、道具を仕上げるための時間でしかなかったのだとしたら。  「あの球さぁ、宇宙人が投げたのか?」 親友は笑おうとして、失敗した顔で言った。  「──違うだろ。投げたのはお前だろ、金松」 白線の両側に、五十人ずつ。 赤いゴムボールが、床を舐めるように滑ってくる。  ──『デスドッジ』、開幕。 ※本作は「小説家になろう」「カクヨム」「アルファポリス」に掲載しています。
24h.ポイント 542pt
小説 2,728 位 / 229,108件 SF 13 位 / 6,762件
文字数 31,033 最終更新日 2026.08.12 登録日 2026.08.12
1