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これは、ドッジボールである。
ただし、外野はない。
当たった者は、外に出るのではなく──死ぬ。
二〇〇七年六月。誰もいない二軍のグラウンドで、プロ野球二年目の金松亮は、黒いスーツの男に声をかけられた。
──XV1だな。
意味は分からない。なのに、行かなければならないと思った。なぜ、と疑う機能ごと、頭から抜き取られていた。
連れて行かれたアリーナに集められていたのは、日本中から選び抜かれた二百人のトップアスリート。その中には、甲子園の決勝で投げ合った親友・野上雅人の姿もあった。
黒スーツの男が、事務的な声で告げる。
──諸君は本来、そこにいるはずのない人間だった。
──諸君が手にした記録、契約、栄誉。そのすべては、我々が与えたものだ。
──だから今日、回収に来た。
六歳の夏。亮は空き地で、ひとりの少年に出会っている。
グード。自分を「キデ星から来た」と名乗った、姿の見えない同居人。
あの日から十四年。血の滲んだ指も、泣いた夜も、あの日のマウンドも。
すべてが、道具を仕上げるための時間でしかなかったのだとしたら。
「あの球さぁ、宇宙人が投げたのか?」
親友は笑おうとして、失敗した顔で言った。
「──違うだろ。投げたのはお前だろ、金松」
白線の両側に、五十人ずつ。
赤いゴムボールが、床を舐めるように滑ってくる。
──『デスドッジ』、開幕。
※本作は「小説家になろう」「カクヨム」「アルファポリス」に掲載しています。
文字数 31,033
最終更新日 2026.08.12
登録日 2026.08.12
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