南部の通詞侍

 寛文九(一六六九)年六月、蝦夷地のアイヌが一斉に蜂起した。
 アイヌ反乱の知らせを受けた幕府はその鎮圧に本州の北端に位置する津軽弘前藩、秋田久保田藩、それに南部盛岡藩といった東北諸藩に派兵を命じた。
 この期に乗じて領地拡大を狙う津軽、様子見の秋田、中立の南部と三者三様の思惑の中、古来より犬猿の仲である津軽と南部が松前藩を出し抜こうと共闘する事となり、現地に詳しい津軽のくノ一とアイヌ語が分かる南部の通詞がシャクシャインの砦に潜入する事となった。
 幕府とアイヌとの戦いの中に咲く、津軽のくノ一と南部の通詞との悲恋譚。
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