「で、結論は?」と夫が言うので、結論だけ申し上げて離縁しました ~娘の長いおはなしは、目の見えない辺境伯さまが最後まで聞いてくださいます~
「で、結論は?」
伯爵夫人マリエッタが何を話しても、夫ユリウスはそう言って遮った。領地の橋のひびのことも、詐欺の噂がある商会のことも。そしてある朝、七歳の娘リリがこまどりの巣の話をしたときも。
「おかあさま。リリのおはなし、ながい?」
父の前で一文しか話さなくなった娘を見て、マリエッタは決めた。
「結論から申し上げます。離縁してください」
娘を連れて向かった北の辺境で、彼女は目の見えない辺境伯エーリクの朗読係になる。寡黙な彼は、どんなに長い話も、決して途中で切らない人だった。
一方、夫が聞き流した三つの忠告は、春の長雨とともに、ひとつずつ現実になっていき――。
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