婚約破棄された令嬢は、今日から王子を無視します
「エレノア・アシュフォード。お前との婚約は、この場で破棄する」
王城の大広間に響いた第一王子レオンの声に、楽団の演奏が止まった。
集まっていた貴族たちは息をのみ、次の瞬間にはざわめきが広がる。
エレノアはゆっくりと顔を上げた。
目の前では、王子が腰に手を回した美しい令嬢――侯爵令嬢セシリアが勝ち誇ったように微笑んでいる。
王城の大広間に響いた第一王子レオンの声に、楽団の演奏が止まった。
集まっていた貴族たちは息をのみ、次の瞬間にはざわめきが広がる。
エレノアはゆっくりと顔を上げた。
目の前では、王子が腰に手を回した美しい令嬢――侯爵令嬢セシリアが勝ち誇ったように微笑んでいる。
あなたにおすすめの小説
追放されたので、祝福はすべて回収いたします
「聖女エルシーを、国外追放とする」
罪状は、真冬の夜に許可なく子どもを治したこと。追放に賛同する署名は、四十三家。
わたしは弁明のかわりに、署名簿をじっと見つめました。
「お名前を、覚えておこうと思いまして」
誰も知らないことがひとつあります。聖女の祝福は「渡したら終わり」ではなく、細い糸でわたしと繋がり続けている。——手繰り寄せれば、戻るのです。
退去の期限は三十日。回るには、じゅうぶんですわ。
豊穣も、商運も、健守も。十年分の台帳と照らし合わせて、署名した家から順番に、一軒ずつ。
「ごきげんよう。祝福を、返していただきに参りました」
ただし——子どもと病人にかかっているものは、一件も引きません。回収とは、そういうふうに、するものですから。
横領を告発しようとした私の声を奪った婚約者へ。愛人との結婚式で、その沈黙をお返しします
「声がなければ、告発も否定もできない。喋れない女の走り書きを、誰が立ち止まって読む?」
伯爵令嬢アメリアは、婚約後の領地運営を手伝うなかで、不自然な支払いを見つける。
南堤防の石材代として処理された二百四十金貨。
同じ支払番号、同じ金額、同じ婚約者の署名が記されたもう一枚の明細には、こう書かれていた。
――愛人ダフネへ贈る、婚礼用サファイア首飾り一式。
公的救済金の横領を地区救済局へ告発すると宣言した直後、アメリアは婚約者ヴィクトルから「封言の呪い」をかけられる。
横領という秘密を隠すため、声そのものを奪う呪い。
ヴィクトルはアメリアとの婚約を解消し、十日後にはダフネとの結婚式を開くと告げた。
声を奪えば、何も訴えられない。
声を失った女の話など、誰も聞かない。
ヴィクトルはそう信じていた。
けれど、アメリアが失ったのは声だけだった。
文字を書く手も、証拠を求める知識も、どこで誰へ伝えるかを選ぶ意思も、奪われてはいない。
以前から面識のあるジュリアン子爵は、アメリアの代わりに告発しようとしない。彼女が一文字ずつ書き終えるまで待ち、本人が決めるまで答えを先回りしない。
アメリアは自分で二つの支払控えを確保し、安全と複数の証人がそろう場所を選ぶ。
それは、ダフネが横領金で買われたサファイアを身につける、ヴィクトル本人の結婚式だった。
誓いの前に婚姻への異議を問われた瞬間、声のないアメリアは自ら立ち上がり、一枚目の告発書を大勢へ掲げる。
> 私はアメリア・レイン。ヴィクトル・ハロウに声を奪われました。
これは、声を奪われても意思を他人へ渡さなかった令嬢が、自分の文字で秘密を公にし、自分の言葉と名誉を取り戻す物語。
全7話・完結。婚約破棄、愛人との結婚式での直接告発、ざまぁ、意思を尊重して待つ相手との異世界恋愛です。
婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。
壁ドンからの「お前はオレだけを見ていればいいんだ」と言われたので、殴りました
王女付き侍女として仕えるリディアには、誰にも明かせないもう一つの顔がある。
彼女の正体は、王女直属の女性護衛騎士だった。
そんなリディアに、近衛騎士アルベルトが執拗に言い寄ってくる。
何度断っても「遠慮している」「強がっている」と都合よく解釈され、ついには文官セドリックと親しくしていることに嫉妬されてしまう。
そしてある日、アルベルトはリディアを壁際へ追い詰め、耳元で囁いた。
「お前はオレだけを見ていればいいんだ」
その瞬間、リディアの全身を悪寒が走る。
生理的に無理だった。
気づけば、反射的に拳が出ていた。
勘違いと粘着を続けた近衛騎士の末路と、仕事を通して自然に距離を縮めていく文官との関係を描く、異世界恋愛短編。
「お幸せに」と微笑んだ悪役令嬢は、二度と戻らなかった。
王太子から婚約破棄を告げられたその日、
クラリーチェ=ヴァレンティナは微笑んでこう言った。
「どうか、お幸せに」──そして姿を消した。
完璧すぎる令嬢。誰にも本心を明かさなかった彼女が、
“何も持たずに”去ったその先にあったものとは。
これは誰かのために生きることをやめ、
「私自身の幸せ」を選びなおした、
ひとりの元・悪役令嬢の再生と静かな愛の物語。