雨に濡れた庭園で、彼女の瞳が映すもの

 彼女は、たった三人で住むには広すぎる屋敷に住んでいた。すっと伸ばした細い背に声を掛けると、優美な動作で振り返り、はんなりと笑う。

 彼女は、いつも一人で見るにも広すぎる庭園を見つめていた。まるで何かを待ち続けているかの様な瞳に何を待っているかと尋ねると、涼やかな笑みを浮かべて、そっと答えを舌先に乗せる。

 悠久の時の彼方になろうともお待ち申し上げております、と約束した方を。


 そうして、彼女はまた一つ、嘘を重ねる――。

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 時代背景は、似非明治中期~後期。舞台は似非日本。史実を参考にしていますが、自己設定が半分以上なので、現実にあるものとは全く関係がないと思ってください。
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