占術 小説一覧
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秋の雨が石畳を叩く夕暮れ。路地裏でひっそりと営まれる『レン修復工房』の扉を叩く音がした。
扉の向こうから現れたのは、質素な外套の下に鮮やかな金髪と碧眼を隠した女性。名前はアリア。彼女が差し出したのは、留め具が壊れボロボロに擦り切れた一冊の革表紙の本だった。それは、10年間彼女と一緒に旅をしてきた、父の唯一の形見。
「この本を直して。父が何を残そうとしたのか、読みたいの」
日誌の記述は 120ページ で唐突に途切れ、そこには『どうか生きてくれ』という祈りと、ワインの染みだけが残されていた。だが、アリアが本当に解き明かしたいのは、その先にある空白のページ。最終 315ページ目にある、無数の不規則な穴の正体だった。
壊れたものに情熱を傾ける修復士・レンと、不思議な予感を信じる踊り子・アリア。最後のページが読み解かれるとき、過去と現在を繋ぐ時間が動き出す。
※不定期更新になると思いますが、お付き合いいただけますと嬉しいです。
※私の妄想した架空世界のお話です。
※誤字脱字、また文章がおかしな箇所も多々あるかもしれません。どうぞご容赦ください。
文字数 10,361
最終更新日 2025.12.16
登録日 2025.12.16
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