ミステリー 録音 小説一覧

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存在しない放送

父が姿を消した夜、町の人々は奇妙な声を聞いたという。 1994年9月、台風が北陸を通り過ぎた夜。町立有線放送所に勤めていた佐伯修一が、忽然と消息を絶った。 だが、当夜の記録は食い違い、住民たちの証言も、年月を経るごとに少しずつ形を変えていた。 それから三十二年。 音声修復師となった娘の澪は、取り壊しを控えた放送所に残された一枚の記録をきっかけに、故郷・汐見町へ戻る。 古い証言。 日付の曖昧な記録。 持ち主のわからない録音テープ。 調べるほどに、父の足取りは遠ざかり、やがて澪自身の記憶さえも確かなものではなくなっていく。 あの夜、町では何が起きたのか。 人々が聞いたという放送は、本当に存在したのだろうか。
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