ファンタジー 謎解き要素あり?小説一覧

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「とにかく、光華諸学院に転校しろ。」 立場的には、ぼくの義父なのだろうが無茶を言ってくれる。光華? 諸学院とはなんぞ? 「大丈夫だ! 行けばすべてわかるようになっている。青春ってやつを満喫してくるんだ、槇村龍斗(まきむらりゅうと)。」 リュートは、義理の父とはあまり、仲がよろしくなかった。 「なんなんですか? この光華諸学院というのは。」 「全寮制の中等教育機関だ。」 「どこにあるんです?」 「聞いてどうする。」 「行くんですよ。当然でしょう。」 「……知らんな。」 「そんなはずないでしょう。あなた、今、全寮制っていいましたよね。ということは、どこかにあるんでしょう?」 「ないものはない。」 「嘘をおっしゃい。それとも、ぼくには教えたくないんですか?」 「お前には関係ないことだ。」 「ありますとも! 学校に行くのはぼくですよ!」 「だったらなんだというんだ。」 「あなたはいつもそうだ。ぼく自分の都合のいいように利用して、都合が悪くなると放り出す。」 リュートは、遠い目をした。 「いや、都合が悪くなって放り出しても都合よく利用する。」 「それがどうした。お前がなにをするかは、行った先でお前が決めることだ。私は関係がない。」 「あなたのそういう態度が、ぼくの人生を狂わせたんです。」 「そうかもしれんな。だが、お前はそれを望んでいたんじゃないのか?」 「よく言う……!」 リュートは、思わず、笑いだした 笑うしかない状況だ。 突然、全寮制の学校に叩き込まれ、しかもそれがどこにあるのかも分からないときている!笑わずにいられるだろうか? いや、いられない。 だが、それはそれだ。 問題は、どうやって、この義父(とでも呼ぶしかあるまい)から逃げ出すかだ。 そのことだけを考えよう。 「わかりました。言われた通りにいたしましょう? で、いつ出立いたします?」 義父は、一抱えほどもあるトランクをよっこらしょと、言いながら取り出して、リュートに手渡した。 「なんて、行き届いた『親』なんだろう。準備は完璧だ。」 「まさか、今晩出立しろ、と。」 「まさか! 今晩のわけないだろう?」 「デスよね!」 二人は声をそろえて笑った。 「今すぐに決まってるだろう?」 はあ? リュートの周りで世界がぐるぐる回ったような気がした。
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文字数 39,076 最終更新日 2023.06.05 登録日 2023.05.02
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