歴史・時代 創作 小説一覧
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3件
1
七つの邪道
文字は邪道。紙は邪道。印刷は邪道。
鉛筆は邪道。ワープロは邪道。ネットは邪道。
新しい創作道具が生まれるたび、物語を残してきた天才一族は言った。
「そんなものは邪道だ」
洞窟の壁へ獣を描いた始祖。
数千枚の木簡へ大作を刻んだ宮廷作家。
一冊を芸術へ変えた写本師。
書き損じさえ物語にした文豪。
原稿用紙へ魂を込めた人気作家。
世界中の資料へ手を伸ばした歴史小説家。
彼らは、ただ時代に取り残された愚か者ではない。
誰よりも優れ、誰よりも物語を愛していた。
それでも時代は、新しい道具を連れてくる。
そして令和。
一族史上最高の才能を持つ綴野綴の前に、七つ目の邪道、生成AIが現れる。
七つの時代を旅しながら、創作とは何かを少しだけ笑って考える、一族の連作短編。
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文字数 40,344
最終更新日 2026.07.30
登録日 2026.07.30
2
『幻燈花』
大正十二年の帝都。
純文学の権威として君臨する名門・初葉家の次期当主である初葉桜子は、外界から隔絶された屋敷の奥深くで、ただ一人孤独に活字を紡ぎ続けていた。彼女には、他者の『選ばれなかった人生』を夢に視て、それを極上の物語として克明に活字へ写し取るという数奇な感受の業が宿っていた。
臆病さゆえに愛する女性を見捨てた書生、保身から助けを求める手紙を見殺しにした配達夫、身勝手な細工で父の足を奪った若き設計士、権力者の慰み者として心を殺された女中。桜子が夢に視て執筆した純文学『幻燈花』に描かれていたのは、彼らが現実の絶望や誘惑に屈せず、勇気と尊厳を持って困難に立ち向かった『もう一つの美しい人生』であった。
己の紡ぐ物語が、現実で惨めに生きる見知らぬ誰かの『選べなかった光』であることを知った桜子。彼女は、虚構の物語を現実の弱者たちの魂を蘇生させるための『希望』へと昇華させる決意を固める。一方、家の瑕疵として発声を禁じられ、暗室に放置されていた桜子の兄・清もまた、妹の存在を唯一の光として息を潜めていた。
やがて、虚飾に満ちた帝都の大地を、人智を超えた未曾有の大災厄が引き裂く。
日常が崩壊し、すべてが瓦礫と紅蓮の猛火に呑み込まれる極限の地獄の底。かつて現実から逃げ出した罪人や弱者たちは、『幻燈花』に描かれた己の姿に魂を震わせ、今度こそ後悔のない『真実の人生』を生き抜くため、業火の中へと飛び込んでいく。
一人の少女が紡いだ活字が人々の血肉となり、大災害の闇を照らす光の網となって連鎖する。圧倒的な絶望の前に立ち向かう人間の尊厳と、魂の蘇生を描き切った、美しくも哀しき大正純文学群像劇。
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文字数 147,368
最終更新日 2026.09.11
登録日 2026.08.09
3
けふ、須古銀次に會ひました。
一九四四年。戦時中。まだ特別攻撃隊があらわれる前のこと。
海軍の航空隊がある基地に、須古銀次(すこぎんじ)という男がいた。その者は、身長が高く、白髪で、白鬼と呼ばれる。
彼が個室の部屋で書類に鉛筆を走らせていると、二人の男達がやって来た——憲兵だ。
彼らはその部屋に逃げ込んだ二人組を引き渡せと言う。詳しい事情を語らない憲兵達に、須古は口を開いた。
「それは、正義な(正しい)のか」
言い返された憲兵達は部屋を後にする。
すると、机下に隠れていた、彼杵(そのぎ)と馬見(うまみ)が出てきた。だが、須古はすぐに用事があるのか、彼らに「〝目を閉じ、耳を塞ぎ、決して口を開くな〟」と言って隠れるように促す。
須古が部屋を出て行ってすぐに憲兵達は戻ってきた。
※当作品はフィクションです。
作中の登場人物、時代、事情、全てにおいて事実とは全く関係ありません。
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文字数 11,942
最終更新日 2020.10.27
登録日 2020.10.24
3件
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