歴史・時代 重厚 小説一覧

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傀儡の夜明け ――怪物の狭間に生きた「影将軍」足利義栄――

傀儡の夜明け ――怪物の狭間に生きた「影将軍」足利義栄――
【信長、久秀、三好三人衆――怪物の狭間で「人」を欲した影の将軍】 「持つことが失うことだというのなら、私は何も持たなくていい。――だが、私はまだ求める」 『影将軍の求道 〜足利義栄、泥に咲く人間の絆〜』 歴史の重き「空白」に、誰からも顧みられぬ一人の青年がいた――。 永禄八年、将軍・足利義輝が討ち死にを遂げた「永禄の変」。 その直後、公式には前年に病没したとされる天下の怪物・三好長慶は、未だ飯盛山城の奥深くで息を潜めていた。 老怪物が三人衆の思惑を裏切り、阿波の片田舎から呼び寄せたのは、足利の血を引くだけの「空っぽの青年」・足利義栄であった。 実績も人望もなく、一匹の野良猫にすら拒絶されるほどの底知れぬ孤独を知る義栄。 彼は「将軍という器さえ得れば、人はおのずと集まり、孤独は終わる」という盲目的な確信を胸に、他者の欲望の濁流へと身を投じていく。 しかし、病床の長慶が遺した『持つとは、時を留めようとして失うことだ』という血の吐くような真実、そして松永久秀が突きつける『人は集まらん、人の欲が集まる』という冷徹な実相は、やがて美しく磨き上げられた将軍の器に致命的な「裂け目」を入れていく。 三好三人衆の剥き出しの強欲、嫉妬、暴食の狭間で、それでもなお「誰も私から離れてほしくはない」と人との繋がりに狂おしく執着する義栄。だが、東天から圧倒的な「焔」の速度をもって襲来した織田信長は、彼が命がけで守ろうとした仮初めの調和を、古い世界の甘えとして無慈悲に焼き尽くしていく。 征夷大将軍の座を追われ、すべてを奪われ、文字通り空っぽになって再び阿波の土を踏んだ「影の将軍」。 病に蝕まれ、残された命の灯火が短くなるなか、歴史の表舞台から放逐された彼が行き着いたのは、名もなき辺境の泥道であった。 強者が弱者を踏み潰す乱世の果てに、何も持たぬ敗者となった青年は、なぜなおも拒絶を恐れず、人々の温もりを求めて手を伸ばし続けたのか? 信長の焔でさえも焼き尽くすことのできなかった、足利義栄という一人の人間の、孤独で、しかし最も人間らしい救いと「答」に迫る、凄絶なる歴史巨編。
歴史・時代 連載中 長編
感想数 0 文字数 33,747 最終更新日 2026.08.14 登録日 2026.08.06
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