人情物 小説一覧
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夜鳴き蕎麦徒然草子
【文化文政、日本橋。一杯の蕎麦が、その夜だけの物語を聞く】
日本橋の袂、湯気の向こうに映る江戸の人間模様。
文化文政期の江戸。夜の静寂に包まれた日本橋で、一台の夜鳴き蕎麦屋「清吉」に灯がともる。
店主は、寡黙な職人。茹で上げる蕎麦の音と出汁の香りに誘われ、今夜も暖簾をくぐる者たちがいた。
愚痴をこぼす同心、ささやかな祝いを分かち合う老夫婦、故郷を懐かしむ上方者、そして袖口に不穏な汚れをつけた訳ありの男……。
店主は何も聞かず、ただ淡々と蕎麦を差し出す。
幾星霜を経て、常連客も、店主自身も、少しずつ姿を変えていく。それでも、この場所だけは変わらない。
秋の夜から年が暮れる頃まで。
風鈴の音とともに流れる、切なくも温かい物語。
一日の終わりに、江戸の粋を味わう「蕎麦」の人情連作短編、全十部・全100話。
2026/01/23、全10話。完結しました。(第一部)
2026/06/30、夜鳴き蕎麦徒然草子 第二部、公開しました。全10話です。
2026/07/17、夜鳴き蕎麦徒然草子 第三部、公開しました。全10話です。
2026/07/31、夜鳴き蕎麦徒然草子 第四部、公開しました。全10話です。
2026/08/13、夜鳴き蕎麦徒然草子 第五部、公開しました。全10話です。
2026/08/26、夜鳴き蕎麦徒然草子 第六部、公開しました。全10話です。
2026/09/09、夜鳴き蕎麦徒然草子 第七部、公開予定です。全10話です。
感想数 2
文字数 46,971
最終更新日 2026.09.04
登録日 2026.01.14
2
江戸情話 てる吉の女観音道
この物語の主人公は、越後の百姓の倅である。
本当は跡を継いで百姓をするところ、父の後釜に邪険にされ家を出たのであった。
江戸に出て、深川で飛脚をして渡世を送っている。
歳は十九、取り柄はすけべ魂である。女体道から女観音道へ至る物語である。
慶応元年五月、あと何年かしたら明治という激動期である。
その頃は、奇妙な踊りが流行るは、辻斬りがあるはで庶民はてんやわんや。
これは、次に来る、新しい世を感じていたのではないのか。
日本の性文化が、最も乱れ咲きしていたと思われるころの話。
このてる吉は、飛脚であちこち街中をまわって、女を見ては喜んでいる。
生来の女好きではあるが、遊び狂っているうちに、ある思いに至ったのである。
女は観音様なのに、救われていない女衆が多すぎるのではないのか。
遊女たちの流した涙、流せなかった涙、声に出せない叫びを知った。
これは、なんとかならないものか。何か、出来ないかと。
……(オラが、遊女屋をやればええでねえか)
てる吉は、そう思ったのである。
生きるのに、本当に困窮しとる女から来てもらう。
歳、容姿、人となり、借金の過多、子連れなど、なんちゃない。
いつまでも、居てくれていい。みんなが付いているから。
女衆が、安寧に過ごせる場を作ろうと思った。
そこで置屋で知り合った土佐の女衒に弟子入りし、女体道のイロハを教わる。
あてがって来る闇の女らに、研がれまくられるという、ありがた修行を重ねる。
相模の国に女仕入れに行かされ、三人連れ帰り、褒美に小判を頂き元手を得る。
四ツ谷の岡場所の外れに、掘っ立て小屋みたいな置屋を作る。
なんとか四人集めて来て、さあ、これからだという時に……
てる吉は、闇に消えたのであった。
感想数 0
文字数 143,822
最終更新日 2023.02.23
登録日 2023.02.04
3
お江戸浅草占い草子
「占」の一字を掲げるだけの男は、なぜ人の嘘も過去も言い当てるのか。
江戸・浅草寺の参道裏。路地の片隅で、小さな「占」の看板を掲げる一人の占い師がいた。
失せ物、浮気の疑い、名付けの相談――
持ち込まれる悩みに、彼は筮竹を鳴らしながら、こう告げる。
「ちょいと、観てみますか」。
だが彼が本当に見ているのは、卦ではなく、依頼人自身が語らなかった小さな綻びだ。着物の縫い目、金の使いみち、ふとした言葉の端々――占いという体裁を借りて、彼は人の噓と真実を静かに暴いていく。
そして時折、彼の元にも過去の影が届く。「此怨未忘」――差出人のない一通の封書。無名の占い師は、いったい何者なのか。
江戸の人情と粋が息づく浅草を舞台に描く、全十話の連作時代小説。隙間時間で読める一話完結形式です。
感想数 0
文字数 8,590
最終更新日 2026.07.16
登録日 2026.07.07
3件