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「クビか、女になって社長秘書か」——四十五歳の俺に、会社が突きつけた二択は、そのどちらもが地獄だった。
大鷹物産・総務課で二十三年。無遅刻無欠勤、課長代理止まり。独身、ローン残債あり、母の介護費あり。そんな俺に人事部長が示したのは、給与三倍の「特別秘書室」への異動だった。ただし条件は、グループの医療ベンチャーによる“施術”を受けること。目覚めたとき、鏡の中には二十代半ばの女が立っていた。
用意されたのは膝上二十センチの特注制服。値踏みするような視線。接待の席で強要される酌。ホテル、温泉、野球拳——社長と取引先会長の思惑に、俺は日ごとに追い詰められていく。
だが、忘れてもらっては困る。こっちは総務二十三年だ。経費の裏も、宴会の切り抜け方も、役員の力関係も、全部この頭に入っている。
若い女の身体に、おっさんの魂と、経理の知識。やられっぱなしで終わるほど、サラリーマン人生は甘くない——これは、備品にされた男の、静かで痛快な逆襲の物語。
※全8話・完結済み
文字数 1,703
最終更新日 2026.08.11
登録日 2026.08.11
貧富の差は拡大の一途をたどり、行き場を失った若者たちは闇バイトやトクリュウと呼ばれる組織犯罪に吸い込まれていった。刑務所はどこも定員を超え、特に凶悪犯を収容する都内のとある施設では、収容者同士の諍いが絶えず、国も対応に苦慮していた。
そんな折、政府はひとつの法案を通した。「性犯罪者更生特別措置法」。表向きは厳罰化と再犯防止のための施策とされていたが、その実態を俺が知るのは、逮捕されてからのことだった。
——俺に下されたのは、懲役ではなかった。名前を奪われ、女の身体で「更生」させられること。それがこの法律の正体だった。
番号で呼ばれ、名前のない女として生きる日々の中で、俺は問い続ける。名前も性別も奪われて、それでも「俺」は、俺のままでいられるのか。
全7話・完結済み。
文字数 9,193
最終更新日 2026.08.11
登録日 2026.08.11
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