売られた男爵令嬢と孤独な王子
「セリーヌ、お前を王室に『献上』することになった」
机の上に置かれた書類には、はっきりと『身代金相殺契約書』と書かれているのが見えた。
要するに、売られたのだ。借金のカタとして、生贄として。
「前の侍女は、一週間と持たずに辞めたそうだ。ディミトリ殿下は……少々、お体に差し障りがあるゆえ、気性が激しい。だが、お前のように這いつくばることしか能のない娘にはお似合いの職場だろう。光栄に思え」
セリーヌは、静かに自分の足元を見つめていた。
(ああ、私は本当に、この家で一粒の価値もなかったのだな)
「かしこまりました。お父様。ロアール家の名を汚さぬよう、務めを果たしてまいります」
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