投棄姫~氷の国の令嬢は不遇な我が身を呪い、自由を夢想する~

 ハルフゲイン。
 そこは八枚の岩の華という意味の異世界。
 央国イシュアを中心に、菱形の花弁が八方に広がる、そんな世界だ。
 極北の一の国アルバを筆頭に右回りに八つの国と、中央に央国イシュアが存在する。
 七の国ハイフは氷の大地と不凍港を持つ南北の交易の要衝として栄えていたが、そこはハルフゲイン一、人種差別が激しい国家として有名だった。
 僧王門、貴族、市民、土民と呼ばれるこの四階層は、国教である光の神の信徒が土着の民だった灰色の魔族を征服した数百年前に敷かれた制度だ。
 数代前の祖先が異世界から召喚されてきたという伝説を持つ貴族階層の一族の娘マイラムは、家業である弁務官の仕事を継ぐために王都にある四階層の裕福な家庭や有力な氏族の子弟を教育するイルバーニ学園に入校して二年。
 四年生の学園生活で五の国の竜帝の一族の娘や、二の国の魔王の王女と共にそれなりに楽しい学園生活を楽しんでいた。
 そんなある日、僧王の第四王女シスアとその一派に目を付けられたマイラムは実は土民の娘が身分を偽って入校しているという疑いをかけられてしまう。
 身分詐称は投棄の大罪とされるハイフの法律に従いマイラムは北の果てへと投棄され、愛する恋人からは婚約を破棄されてしまう。
 そこで彼女は一族の秘密を知るのだった。
 これはマイラムの復讐の物語。
 
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