彷徨える鷹は恩讐の檻を破るか
狙撃手イリムと、観測手グジム。二人は共に育った幼馴染。
民族紛争で故郷を失った彼らは、異国の山岳地帯の反政府部隊に身を置き、顔のない兵士として戦っている。それでも二人きりの時間だけは、互いの本当の名を手放さずにいた。
部族の争いで家族を喪ったイリムは、仇討ちの掟に縛られたまま、どこかで自分の死に場所を探している。けれど、いつも隣にいるグジムは、そんな彼を黙って見つめ、支え続ける。
狙撃任務、空爆、補給、広報、地下に張り巡らされたトンネル陣地。終わりの見えない戦争の中で、イリムは仲間たちに導かれながら、少しずつ「生きること」へ手を伸ばしていく。
共に死ぬために戦うのか、共に生きるために戦うのか。
戦場の現実に突き当たるたびに何度も問い直しながら、二人は今日も互いの名を呼ぶ。
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