八時の部屋
母が死んで二年。十七歳の紗季は高校を休学し、七歳の妹と、継父と三人で暮らしている。
継父は怒らない。急がせない。ピアノを教える声はいつも同じ高さで、外から見るぶんには、根気のある父親でしかない。
毎晩八時、妹は継父の部屋へ呼ばれる。扉が閉まり、三十分で開く。出てくる妹は頬が赤く、口の中で飴を転がしている。扉の向こうで何をしているのかを、紗季は知らない。
止めたい。せめて今夜だけでも。
そう決めた夜、紗季は家の決まりを破って、夜の家に客を呼び寄せた。玄関で物の倒れる音がして、そこから、この家の二年が少しずつずれはじめる。
妹を連れて出るために、紗季は自分の手で扉を開けていく。
全七話・完結。
この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
継父は怒らない。急がせない。ピアノを教える声はいつも同じ高さで、外から見るぶんには、根気のある父親でしかない。
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止めたい。せめて今夜だけでも。
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