春暁に紅緋の華散る ~はるあかつきにくれなひのはなちる~
払暁に生まれた女児は鎌倉を滅ぼす……鶴岡八幡宮で神託を受けた二代将軍源頼家は産み落とされた女児を御家人のひとりである三浦義村の娘とし、彼の息子を自分の子だと偽り、育てることにした。
ふたりは乳兄妹として、幼いころから秘密を共有していた。
ときは建保六年。
十八歳になった三浦家の姫君、唯子は神託のせいで周囲からはいきおくれの忌み姫と呼ばれてはいるものの、穏やかに暮らしている。ひとなみに恋もしているが、相手は三代将軍源実朝、血の繋がりを持つ叔父で、けして結ばれてはならないひとである。
また、元服して三浦義唯という名を持ちながらも公暁として生きる少年は、御台所の祖母政子の命によって鎌倉へ戻り、鶴岡八幡宮の別当となった。だが、未だに剃髪しない彼を周囲は不審に思い、還俗して唯子を妻に迎えるのではないか、将軍位を狙っているのではないかと憶測を絶やさない。
噂を聞いた唯子は真相を確かめに公暁を訪ねるも、逆に求婚されて……
鎌倉を滅ぼすと予言された少女を巡り、義理の父子が火花を散らす。
顔に牡丹の緋色の花を持つときの将軍に叶わぬ恋をした唯子が選んだ未来とは?
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