紫の花は、袖で咲く
「目をひくこと」と、「誰かを見守ること」は、きっと違う。
宝塚の舞台に立って三年。若手男役・碧乃彗は、初めて銀橋を一人で渡る役を手にする。
誰より美しく、誰より目を引く存在になりたい。そう願ってきた彗に、上級生の白檀伶衣は告げた。
「もっと周りを見た方がいい」
その意味が分からない彗だったが、雨の日、劇場近くに咲く紫色のデュランタ・タカラヅカと、その花言葉を知る。
「目をひく容姿」「歓迎」「あなたを見守る」
華やかな舞台の裏側で、誰かが誰かを支え、見送り、次の世代へ想いを渡していく。
一輪の紫の花が結ぶ、先輩と後輩、そして舞台に立つ者たちの物語。
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