もう何も信じません。~私のことはどうぞ、放っておいてください~

 アリステアはある歴史の書物を偶然見かけたことで、ある記憶を思い出した。かつて、アリステアとして生きていた記憶を思い出した。
 自分はかつて、悪女として処刑されたことを。
 確かに、自分はその罪状で処刑されて、家族も私を裏切ったのか、その罪を認めたらしく、助けてくれることはなかった。
 でも、全部に見覚えがなかった。そもそも、王子との婚約のきっかけすらも違う。王子に近づく女というのも、貴族として節度を持てと注意しただけだ。それも意味はなく、禁断の愛とやらに溺れていったが。
 そこで、アリステアは気づく。
 全部、自分達にとって都合のいいようにしたんだと。
 アリステアが悪女だということにしておけば、自分達の不義を正当化できると。
 思い出せば、自分の罪を立証していたのは、友人だと思っていた令嬢たちだった。王子に近づいている女がいると教え、きちんとマナーを教えたほうがいいと言っていた存在だったと。
 その令嬢たちと仲良くなり始めたのは、王子とある令嬢の仲が深まり始めたときだ。

「全部……全部、騙されていたのね」

 自分達の真実の愛とやらを貫くために、自分を悪女に仕立てた王子やその令嬢、友人だった存在も、自分の無実をまるで信じてくれなかった家族も、何もかもが憎たらしくなった。

「もう……誰も信じないわ」

 このまま黙って処刑されるくらいなら、好きに生きてやる。
 そう決めたのに、自分に良くしてくれようとする周りを見ると、アリステアは心が揺らぎそうになってしまう。
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