『琥珀色の記憶をほどいて ―時洲美波と遠い日の約束―』
「モノは決して嘘をつかない。嘘をつくのは、いつだって人間だけです」
下町の路地裏にひっそりと佇む古物商『時洲堂』。
若き店主・時洲美波の元には、どこからともなく【迷子になったモノ】たちの相談が持ち込まれる。
大切な親友との約束が込められたカード。
クラシックホテルで十年間眠り続けていた、開かずのトランク。
あるいは、15年前に手放してしまった古書――。
一見するとただの古い品物に見えるそれらには、持ち主すら知らない不可解な謎と、失われた過去の時間が封じ込められている。
美波は、極めて丁寧で論理的な観察眼をもって、モノが刻んだ傷や酸化の具合、微細な矛盾を読み解いていく。
誰かを欺くための冷たい悪意から、愛する家族を守るために命がけでついた優しい嘘まで。
言葉を持たない古物たちが無言で語る『真実』を翻訳し、美波は迷子たちを本来あるべき場所へと静かに帰していく。
これは、モノに宿る人々の不器用で温かい想いをほどき、凍りついた時間を再び動かす、静かで優しい謎解きの物語。
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