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東京の下町の路地裏に佇む古物商『時洲堂』。
若き女店主・時洲美波は、普段はあどけなくお人好しな少女だが、愛用の丸眼鏡を押し上げると、見落とされた小さな痕跡から真実を見つけ出す『探し物探偵』へとスイッチを切り替える。
彼女が請け負うのは、凄惨な事件ではなく、日常の中で迷子になったモノたちのルーツ探し。
悲しい事故の記憶と共に歪んでしまった金属、長崎の海辺で消えた一族のブローチ、密室のカウンターから忽然と姿を消したおひつ、本棚から消滅した卒業アルバム、そして、亡き妻との約束の品である銀のペーパーナイフ――。
美波は、モノに込められた持ち主の想いや、自然のルールが引き起こした不思議な現象を一つ一つ丁寧に紐解いていく。
不器用で温かい三枝夫婦に見守られながら、古いモノが語る沈黙の足跡に寄り添い、依頼人たちの心を優しく救い上げていく。
心温まる日常ミステリー、第三弾!
文字数 132,971
最終更新日 2026.09.27
登録日 2026.08.15
大手広告代理店で『完璧なチーフ』として立ち回り、大企業の社長の娘という重圧をひた隠しにして生きる佐倉真奈。親の期待と社会の体面に応え、自らの心を殺して生きる彼女は、ある雪の夜、路地裏で古いアンティーク工房を営む時計修理士・雨宮蓮と出会う。
過去のトラウマから他人の人生に踏み込むことを恐れ、静寂の中で一人『止まった時間』を生きていた蓮。孤独な二人は互いの隠された脆さと痛みに深く共鳴し惹かれ合うが、家と家の莫大な利益が絡む『政略結婚』という巨大な現実が真奈を容赦なく呑み込んでいく。
「俺の愛は、君を壊す劇毒だ」
愛するからこそ互いの手を離し、心臓を殺したまま別の男の妻になることを選んだ真奈。しかし、決して後戻りのできない結納の日。格式高い老舗料亭の静寂を破り、見せかけの理屈もプライドもすべてかなぐり捨てた蓮が、泥だらけの姿で現れて……。
親の期待、社会の体面、見せかけの安全。
そのすべてを焼き払ってでも、手に入れたかった『たった一つの熱』とは。
純文学の圧倒的に美しく重厚な筆致で描き出す、魂を揺さぶる大人の恋愛小説。
文字数 25,665
最終更新日 2026.09.26
登録日 2026.09.20
大正十二年の帝都。
純文学の権威として君臨する名門・初葉家の次期当主である初葉桜子は、外界から隔絶された屋敷の奥深くで、ただ一人孤独に活字を紡ぎ続けていた。彼女には、他者の『選ばれなかった人生』を夢に視て、それを極上の物語として克明に活字へ写し取るという数奇な感受の業が宿っていた。
臆病さゆえに愛する女性を見捨てた書生、保身から助けを求める手紙を見殺しにした配達夫、身勝手な細工で父の足を奪った若き設計士、権力者の慰み者として心を殺された女中。桜子が夢に視て執筆した純文学『幻燈花』に描かれていたのは、彼らが現実の絶望や誘惑に屈せず、勇気と尊厳を持って困難に立ち向かった『もう一つの美しい人生』であった。
己の紡ぐ物語が、現実で惨めに生きる見知らぬ誰かの『選べなかった光』であることを知った桜子。彼女は、虚構の物語を現実の弱者たちの魂を蘇生させるための『希望』へと昇華させる決意を固める。一方、家の瑕疵として発声を禁じられ、暗室に放置されていた桜子の兄・清もまた、妹の存在を唯一の光として息を潜めていた。
やがて、虚飾に満ちた帝都の大地を、人智を超えた未曾有の大災厄が引き裂く。
日常が崩壊し、すべてが瓦礫と紅蓮の猛火に呑み込まれる極限の地獄の底。かつて現実から逃げ出した罪人や弱者たちは、『幻燈花』に描かれた己の姿に魂を震わせ、今度こそ後悔のない『真実の人生』を生き抜くため、業火の中へと飛び込んでいく。
一人の少女が紡いだ活字が人々の血肉となり、大災害の闇を照らす光の網となって連鎖する。圧倒的な絶望の前に立ち向かう人間の尊厳と、魂の蘇生を描き切った、美しくも哀しき大正純文学群像劇。
文字数 147,368
最終更新日 2026.09.11
登録日 2026.08.09
下町の路地裏にひっそりと佇む古物商『時洲堂』。
あどけない笑顔で店番をする店主の時洲美波は、丸眼鏡を押し上げると探し物探偵へと顔を変え、持ち込まれる『迷子』のモノたちが抱える謎を紐解いていく。
『真っ黒な汚れを吸い寄せる呪われた琥珀のペンダント』や『密室の古物店で忽然と消えた企画書』など、一見すると不可解な現象の数々。
だが美波は、持ち前の鋭い物理的な観察眼と人間への深い洞察力、そして古物の知識を頼りにその真実を暴き、モノを還るべき人の元へと優しく導いていく。
そんなある日、テレビのロケハンで店を訪れた鑑定界の重鎮・神谷宗珠は、美波がカウンターで『ただのペン立て』として無造作に使っている薄汚れた茶器を目にし、驚愕する。
それは江戸時代、天下の大泥棒と呼ばれた義賊・土岐半次郎が盗み出し、歴史の表舞台から姿を消したはずの幻の茶器だった。
なぜ、いわくつきの盗品が、この場末の骨董屋にあるのか。
遺されたモノが語る不器用で温かな愛情と、日常に潜む数奇なめぐり合わせ。
美波の真っ直ぐな眼差しが迷子たちの本当の居場所を照らし出す、路地裏アンティーク・ミステリー第2弾!
文字数 208,743
最終更新日 2026.09.06
登録日 2026.08.12
「モノは決して嘘をつかない。嘘をつくのは、いつだって人間だけです」
下町の路地裏にひっそりと佇む古物商『時洲堂』。
若き店主・時洲美波の元には、どこからともなく【迷子になったモノ】たちの相談が持ち込まれる。
大切な親友との約束が込められたカード。
クラシックホテルで十年間眠り続けていた、開かずのトランク。
あるいは、15年前に手放してしまった古書――。
一見するとただの古い品物に見えるそれらには、持ち主すら知らない不可解な謎と、失われた過去の時間が封じ込められている。
美波は、極めて丁寧で論理的な観察眼をもって、モノが刻んだ傷や酸化の具合、微細な矛盾を読み解いていく。
誰かを欺くための冷たい悪意から、愛する家族を守るために命がけでついた優しい嘘まで。
言葉を持たない古物たちが無言で語る『真実』を翻訳し、美波は迷子たちを本来あるべき場所へと静かに帰していく。
これは、モノに宿る人々の不器用で温かい想いをほどき、凍りついた時間を再び動かす、静かで優しい謎解きの物語。
文字数 223,471
最終更新日 2026.08.31
登録日 2026.08.11
北海道ニセコの山中に佇む豪奢な洋館。
別荘地として有名なその場所に集められた『幻影倶楽部』のメンバーたちを襲ったのは、ギリシャ神話の神々に見立てられた凄惨な連続殺人だった。
完璧な密室空間に充満する毒ガス、不可視の領域から放たれた凶弾、そして犠牲者が出るたびにひとりでに文字盤を赤く染めていくアンティーク時計。
まるで魔法のように実行される不可能犯罪の数々は、逃げ場のない生存者たちを深い疑心とパニックへと陥れていく。
血塗られた惨劇の渦中において、ただ一人、静かなる悲壮感を湛えて事象を見据える少女がいた。
幻の奇術書『オリジナル・マニュスクリプト』の行方を追う現役女子大生・香月乃愛(こうづき・のあ)。世界屈指の天才奇術師である彼女にとって、人々に喜びを与えるべき奇術が殺戮の道具に貶められた事実は、耐えがたい冒涜であった。
奇術を汚す行為を決して許さない彼女は、犯人が神の奇跡だと誇る殺人劇のベールを次々と剥ぎ取っていく。
空間の力学、生化学反応、そして人間の認知機能の死角。彼女の圧倒的な知識は、超常的な不可能犯罪を『物理と化学に支配された三流のギミック』へと解体し、事象の構造美だけを抽出していく。
欺瞞に満ちた洋館を支配しているのは何者か。
幾重にも張り巡らされた心理的死角(ミスディレクション)がすべて剥がれ落ちた時、盤面の裏側に隠されていた最も残酷な真実が姿を現す。
奇術への愛と悲哀が交錯する、本格ミステリの新たな到達点。
文字数 13,840
最終更新日 2026.08.30
登録日 2026.08.30
東京の下町に佇むアンティークショップ『時洲堂』。
若き店主・時洲美波は、持ち前の温かい眼差しと古物商としての観察眼で、今日も『迷子になったモノ』に宿る人々の想いを紐解いていく。
賑やかな三枝夫婦と共に冬の北海道・洞爺湖を巡る心温まる小旅行から始まり、エリート刑事・桐生が持ち込んだ巨大な汚職事件と偽装殺人のアリバイ崩し、近所の少年・健太と熱狂した球場で『忽然と姿を消したホームランボール』の行方探し、そして角膜と心臓を移植された青年を苦しめる『細胞記憶』の悲しき過去の解明など、此度も多彩なモノの記憶と人間ドラマが交差する。
しかし、穏やかな下町の日常は、ある男の失踪によって唐突に終わりを告げる。
猛吹雪の夜に時洲堂を訪れた、底知れない闇を纏う元刑事のフリーライター・牧村秋義。
彼が突如として消息を絶ち、後輩刑事の綾瀬に託されたのは、愛用の『銀のジッポライター』だった。
牧村が命懸けで遺した沈黙の道標を辿る美波は、やがて水濡れの手帳に刻まれた異常なまでの筆圧から、彼がたった一人で追い続けていた恐ろしい『過去の亡霊』の正体を知ることになる。
それは、美波自身が10年間信じ続けてきた『両親の死』の原因を根本から覆す、あまりにも残酷で巨大な闇への入り口だった――。
下町の人情溢れる謎解きから、息を呑むハードボイルドなサスペンスへ。
モノの声を聴く心優しき古物商が、ついに己の人生を揺るがす最大の核心へと足を踏み出す、激動と覚悟の第4弾!
文字数 108,247
最終更新日 2026.08.23
登録日 2026.08.16
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