ドライカッパー
「雨だ、雨よ降れ」
ぎらつく太陽が鏡のような刃先を滑る。それが振り下ろされた次の瞬間には肝臓の奥深くに沈み込んでいた。
静かに、ゆっくりと膝をつき、息絶えていく被害者。ギャーっと悲鳴があがり、逃げ惑う人々の足元が揺らめいている。男は背嚢から斧を取り出し、避難民を手当たり次第に伐採していく。
「雨だ。雨をよこせ。さもなくば、血であがなえ!」
男が腕を揮うたびに分割された人体が転がり、茹ったアスファルトが体液をがぶ飲みしていく。
「雨だ。ううっ」
男の主張は乾いた発砲音にかき消された。上半身のあった場所から斧と新鮮な蛋白質と若干のカルシウムが離脱した。
もう一回、二回、ダメ押しの連射が社会の敵を粉々に打ち砕いたあと、ようやく生きた人間の声が喧騒を支配した。
震えている規制線を踏み越えて、担架やブルーシートやAEDが運び込まれる。最後にようやくサイレンが吹鳴した。死者5名、意識不明の重体7名。15分間の惨劇だった。
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「雨だ。雨をよこせ。さもなくば、血であがなえ!」
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「雨だ。ううっ」
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