高嶺の薔薇は檻のなか

 世界のすべてを教えたのはあなた。
 恋も、罪も。

 生涯一度の恋に落ちた。
 恋した時から、出会った時から結末が決まっていた恋に。
 お嬢様は、正式な婚約発表の為の舞踏会でさえ、美しく咲く薔薇のよう。
 私は不埒な執事として、ただ傀儡のように眺めるのみ。
 そのまま緩やかに、時が過ぎると信じていた。
 意識を手放す前の光景は、愛らしい口許を私の血で汚して震える、あなたの姿。
 


 伯爵令嬢を突如襲う、吸血衝動。
 突然変異や感染による奇病か、生まれついての因縁か。
 衝動は次第に渇望へと変わる。
 令嬢の正体は、魔物か被害者か。
 真相を探りながらも飲み込まれる欲情が導くのは、破滅の道のみなのか。
 それでも明治の世に咲く、一輪の薔薇を愛し抜くと決めた執事の物語。

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