【第一部・完】帝姫がゆく!~香は虚実を語る~
前世はデパートの調香部門主任、今は廉(リェン)国皇帝の末娘である史 凛莉(シ リンリー)。下位の側妃でありながら類稀な調香の技術を持っていた実母を八歳の時に毒殺され、その身を案じた皇帝によって、母が担当していた香司のお飾り顧問として配属されることになった。
けれどそこで母親譲りの才能と前世で培った技術を思いがけず発揮。年齢のこともあって公の場には出ないものの、儀式の香合わせを任されるという日々を送っていた。
そんな中、異母兄である皇太子・麗孝(リキョウ)の急死という凶報が届く。
第一発見者は、後宮一の美女、皇太子の許嫁でもある蔡 蓮風(ツァイ リェンフォン)。当然最初の疑いの目は彼女に向いたものの、部屋に鍵がかかっていたことや、日頃から麗孝との仲睦まじい姿を目撃されている蓮風には理由がないと思われ、その疑いはすぐに逸れた。
ひょんなことから香司のお目付け役官吏・景 星辰(ジン シンチェン)と現場を通りがかった凛莉は、部屋に遺された微かな香に違和感を覚える。
自殺か、他殺か。
もしも他殺であれば、怪しいのは、実子・龍毅(ロンイー)を次期皇帝に据えたい野心を抱く淑妃・玉琳(ユーリン)ではないか。粗忽者の龍毅が即位すれば国が傾く――凛莉は、星辰を動かして玉琳周辺の調査を密かに開始することにした。
皇太子を支えるはずだった次男・立峰(リーフォン)の動向も絡み合う中、凛莉は前世で鍛えた嗅覚を武器に皇太子の死の真相へ迫っていく。異母兄のため、義姉になるはずだった蓮風の無念を晴らすためと、幼き天才調香師の戦いが幕を開ける。
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