月下の誘惑

夜のルミナリアは、昼の喧騒が嘘のように静まり返っていた。
月は高く、街を淡い銀色に染めている。

リオは図書館の高台に立ち、夜風に揺れる灯りを眺めていた。
その背後から、柔らかな足音が近づく。

「……またここにいたのね、リオ」

振り返ると、月明かりに照らされたエリスが立っていた。
金色の髪が夜風に揺れ、光を受けて艶やかに輝く。

彼女が一歩近づくたび、胸の奥が熱くなる。
触れられていないのに、距離が縮まるだけで息が浅くなる。

「こんな夜は……あなたと話したくなるの」

エリスの声は、月の光よりも静かで、甘い。
その響きだけで、心が揺れる。

リオは言葉を返そうとしたが、
エリスがそっと近づき、指先が袖に触れた瞬間、
胸の奥がきゅっと締めつけられた。

「ねぇ……リオ。
 あなたは、月の下で誰を想うの?」

問いかけは優しいのに、逃げ場がない。
夜の静けさが、二人の距離をさらに近づけていく。

月下の誘惑は、静かに始まっていた。
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