離縁した元妻はもう振り返らない
名門ながら実情は傾きかけていたキルヴァルト子爵家。その財政と領地運営を、陰で支え続けていたのは妻のエルゼヴィアだった。
しかし夫キルヴァルトは、エルゼヴィアの努力を「地味で無能な女の雑用」と見下し、美貌を誇る愛人ファルヴィアを屋敷に引き入れて妻を冷遇する。さらには義母ベルディスからも下女同然の扱いを受け続けた。
ある日、舞踏会の場でキルヴァルトから一方的に離縁を言い渡されたエルゼヴィアは、取り乱すこともなく静かに微笑み、一枚の離縁状に署名する。
「後悔しても遅いですよ」
そう言い残して屋敷を去った彼女を待っていたのは、北方の冷徹伯爵と恐れられるヴェスリオンだった。
妻を追い出して歓喜に沸く元夫たち。だが、彼女が去った瞬間から、子爵家の富と名声は砂の城のように崩れ去っていく。すべてを失った元夫が泥を這いつくばって許しを請うた時、エルゼヴィアはすでに、真実の愛と最高の栄華に包まれていた。
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