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第四章 別に騙されたとか思ってないし今も変わらず大好きだけど、、、なるべく近寄らないでください(汗)

約束より長引いてしまった再会

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ボクを抱きしめ泣いている彼を見て 
ボクは少し昔の出来事を思い出した











---------------------------------------

あれは、まだボクとギルが出会ってすぐ
前世の記憶が戻って
認識阻害魔法をかけてもらったけど、
お義母様と、お義姉様にいつ見つかるか不安と恐怖を抱いていた頃



ギルからもらったブローチでいつも通りお話してた時

『ねぇルティ』
『なぁに??』
『ルティはその部屋にいるの、怖い?』


ボクは、うん、怖いよ
と、言えなかった

だって、ボクはこの部屋と、庭園しか知らないし
前世でも、怖くない場所なんてなかったから、恐怖心が少し足りなかったのかもしれない

それに、ギルに心配をかけたくなかった


『怖くないよ!今は誰も怖い人いないし、ギルがくれたプレゼントで沢山だから嬉しいもの!』
『、、、、、、』
『ギル??』

明るく行ってみたけど、わざとらしかっただろうか?

『ホントだよ!!!ボクは大丈夫!』

一応念を押してみた

『そっか』

よかった、ギルは納得してくれたみたい

『ルティ、もしそこから出ることが出来て、僕と一緒に過ごすことが出来たら嬉しい?』

と、ふと聞かれた
そんなもの嬉しいに決まっているじゃないか

『嬉しくないわけないよ!本当にそんなこと出来たらボク幸せだろうな~』

《幸せ》の感覚が、ボクにはまだ分からなかったけど、ギルとお話する時はすごくポカポカした気持ちになって、とても楽しくなる
きっとこれが幸せなんだと思う

『うん、僕も幸せだよ』
『だよね!』

ギルは嬉しそうだった

『ルティは泣かないの?』

と、唐突に聞かれた

『なんで?涙を流すのは、痛い時だけだよ?今は叩く人がいないから泣かないよ』
『、、、そっか』

なぜそんなことを急に聞かれたのか分からなかったけど、ギルは話し続けた

『悲しくない?』
『なんで?ギルと一緒にいるから悲しくないよ
あ!一緒ではないけど、話してくれるだけで悲しくないもの!』
『ルティ』
『なぁに?』
『涙が出そうな時には、僕を呼んでね』
『?わかった!』

叩く人がいないのに、なぜ泣くのだろうと、ボクは思った



でも、10歳の誕生日前日
ボクは叩かれていないのに、涙を流した

そう、ギルとの約束の日に会えなくなってしまったから

あれは、「悲しい」の涙だった






---------------------------------------

そして今、ボクの前で泣いているギルを見て、ボクも涙が出てきた

きっとこれは、「嬉しい」の涙だ

「ギルっ!!、、、ギルぅっ!!ご、めん!っごめんね!!あの日っぐずっ!
急に会えなぐなっってっっ」

「っっつ!!いいんだよっ!ルティ
本当に無事でよかったっっ!!!」

「ヴぅぅぅっ!!会いたかったよっっっぉぉぉお!!!!」

ボクはギルの涙が止まったあとも
みっともなく涙が流れた
あと、鼻水も



---------------------------------------

「落ち着いた?」
「ぐずっ、うん、、、」

ようやくまともに話ができるようになって、ボクはギルを再度見た

おぉぉぉ、、、昔から美丈夫予備軍だと思ってたけど、納得が行く成長ぶりだった

昔は緩く結んでいた金髪も、今は、、、

なんだっけこの髪型?
現世で、、、タケノコ?松茸?
!!!
マッシュルームヘアー?!だ!!!

かといって、本物のキノコみたいに膨張してなく、、、
ゆるーくサラサラな金髪がなびいている

顔面力はもう、相変わらずの美少年に、少し大人っぽい風格が入っていた
まぁ、イケメンなのには変わらない

身長は、、、、、、





、、、、、、許せないな

「ギル!!!なんでそんなに身長高いの?!?!?!」
「感動の再開あとに、なんで怒るの?!」

うるさい!質問を質問で返すんじゃない!!
なぜ!なぜボクより遥か高い壁みたいに成長してるんですかっ?!
しかも!程よい筋肉ついてますよね?!?!ボクに対する見せつけですか?!

「ルティはこれくらいがとても可愛いよ!」
「フォローはいらないよ!!!」

昔のボクだったら、可愛いとか言われて狼狽えていたけど、精霊たちに言われ慣れたのか、耐性がついている

別につけたくはなかった

「でも、会えてよかった!
久しぶり!!ギル!!!」
「っ!うん、久しぶり!!」

一応怒っては見たけど、ボクはそんな怒りも出ないくらい嬉しかった
ギルにもう一度会えたのだから

「それにしてもよくわかったね!ボクがこんな所にいるって」

だってここは細い道奥の、壁に囲まれている場所だ

こんなところ入る人がいるのかな?レベル

「あぁ、僕がルティを迎えに行く予定だったんだよ
でも、先生からルティが馬車で気を失ったって連絡が入って、急いで寮に向かったんだけど、なんだか寮内が騒がしくて」
「あ~、、、」

明らかにボクとサンティスのせいですね

「で、寮にいた生徒に聞いてみたら
赤髪のとんでもない美丈夫が、艶髪ポニーテールの美少年を担いで走り去ったって聞いて
慌ててルティが休んでるって聞いた部屋に向かったらいなくて、、、」

サンティスは、精霊ってバレてなかったのか!!
あんなに追いかけてきたから、バレてるものだと思ってた

「で、そのまま外に出て、ブローチの魔力たどってここに着いたんだよ」
「あぁ!!ブローチ!」

そうだった!お守り代わりに、ギルから昔貰ったブローチをポケットの中に入れてたんだ

「そのブローチには僕の魔力を入れていたから、どこにいるかすぐわかったよ」
「なるほど!!」
「それでルティ、今は騒ぎが落ち着いてて、人だかりも無くなったから、僕と一緒に寮に戻ろう?」
「う、ん、、、、、、あ!ちょっと待って!」

ボクは冷静になって考えた
この学園は平民も普通に通えるから、貴族も平民も平等を基本に掲げてる

まぁ、それでも差別問題は色々起きちゃうんだけどね

で!!
ギルはいくら魔法の才能がすごくても商会会長の息子!
ボクの同部屋の住人は、最悪なことにこの国の第一王子にされてしまったから(失礼)

、、、平民のギルがこの国の王族の部屋に入るのは怒られるよね?

「ギル、ごめん!!
ボク、昔からギルと普通にお話してたけど、一応公爵令息って地位にいて、、、
同部屋の人が、この国の第一王子らしいから、部屋にギルが入れるかどうか、、、」
「それなら大丈夫だよ!」
「?、、、大丈夫とは??」
「僕もルティに隠してたんだけどさ、、、」

ギルがかしこまって頭を下げてきた
そう、まるで王子様のように、、、

「改めて挨拶させていただく
私は、フェネリア王国王太子
ギルフォード・フェネリアという」

ボクの口がパッカーンと開く

えーっと?ドウイウコトダ?

「この度、モーリス公爵家嫡男
ルティアーヌ・モーリス公爵令息の、
婚約者となった」

あ、そうなんですね、、、
オメデトウゴザイマス?

「と、言うわけで、、、


よろしくね!僕の未来のお嫁さん♡♡」

あれ?ギルに手を取られてキスされたぞ?
も~婚約者のルティアーヌさんが怒るぞ~





、、、、、、
って!!!!!
ルティアーヌさんボクじゃん!!!!!

「えええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

ボクはまたもや気を失った








「一日に2回も気を失うこととか相当体験できないよ~!!レアじゃん!」

と、意識の去り際、他人事のようにトンファが精霊界から脳に話しかけてきたため
今度のおやつを奪ってやろうと誓った
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