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3章 コスで反逆

61話 中間試験のお勉強

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「う~ん・・・ハーミオ、ここ教えて」


はいはいっとミレーヌに計算式を教えます、ウイシャは向かいに座ってスラスラと計算を解いています、彼女は夜は元気なんですよ、でもウイシャも魔法陣形成が苦手で3人の力を合わせてお勉強をしています。
ミレーヌは、教えても良く分からないと後ろに倒れてだだをコネてきます、僕とウイシャで式を使って見せたり、数値を変えたりと作戦を進め、時間をかけてコツコツと覚えてもらったんだ。
2時間かけ、やっと少し覚えてくれたので休憩しようと提案します、お茶とお菓子を用意すると2人は喜んでくれました。


「まったく、これの時は元気だねミレーヌ」

「良いじゃないですのハーミオ、これが楽しみで頑張っていますのよ」

「そうそう、ハーミオのお菓子はお店よりも美味しいんだからぁ、楽しみなのは当然よぉ」


切り分けたパウンドケーキとクッキーが入った木のお皿をテーブルに置くと、ふたりの手が伸びます、ミレーヌはクッキーでウイシャはパウンドケーキです、美味しいと喜んで食べてくれます。
飲み物はアップルティーです、香りが部屋を満たし安らぎの空間に早変わりです、3人で一口飲んでホッと一息しました。


「やっぱり良いですわね~」

「そうねぇ~・・・もうお勉強は終わりにしたくなるわねぇ~」


ウイシャの一言にミレーヌも頷きパウンドケーキを頬張ります、でも今日のノルマは終わっていません、ふたりもそれは分かっています、これは僕に新しいデザートを求めてるんです。
もう少し頑張れば出すと約束して、僕たちはまた勉強を始めます、終わったのは夜の11時です、休憩後は結局1時間しか出来ませんでした。


「さぁ約束ですわよハーミオ」

「なにが出てくるのか楽しみぃ~」


頑張ったのはたしかなので、約束通りにプリンを出します、ふたりは一口食べて顔をトロ~ンとさせました、それだけ美味しかったんだね。
僕も食べてウットリです、ダンジョンで採れる材料を使ったのでさすがの味です。


「今度は上にクリームを乗せたのを作ろうかな」

「「クリーム?」」


生クリームはここにはありません、上流階級でも砂糖を使うだけの物が多くて、それは甘いだけで評価は低いんだ、お店の中には味を良くしたりと工夫がされてるけど、クッキーなどの焼き菓子が主流です。
とってもまろやかな甘みを楽しめると、生クリームの説明をしたよ、ふたりはプリンをジッと見て止まっています。


「ど、どうしたの?」

「ひどいですわハーミオ!そっちの方がおいしいのですわね」

「そうだよぉ~こっちも美味しいけど、そっちも食べたい~」


ふたりに迫られ、今度作ると約束をさせられました、僕も食べれるから良いんだけど、ふたりとも分かってるのかな?
ふたりを見送りながら、食べ過ぎてるよっと小言を言います、明日の生クリームの甘さは少し控えるように調整しないとです。


「ウイシャは何とかなるけど、ミレーヌはちょっときついかもだね」


部屋の片づけをしつつ、ふたりの成績に不安を漏らします、ウイシャは座学と魔法は得意だけど剣術が苦手です、対してミレーヌは魔法と剣術は良いけど座学がとても苦手なんだ、どれも低すぎるとクラス替えの対象です。
僕の指導で魔法の成績が良いけど、友達として心配なんです。


「試験は来週だし、ギリギリかな」


フラグかもだけど、この後はふたりの実力を考えた準備をします、寝ないから準備が間に合っています。
徹夜でテキストを作り、いつもの授業が始まります、9時から始まり1時間毎に座学と剣術が行われるんだ、途中30分の休憩を挟み午前中が終わります、長めの昼食を取ったら午後は魔法の訓練です、座学と実技の両方を行うんだよ。


「ミレーヌは出来る様になってるけど・・・他の子たちがちょっとねぇ」


座学はどの子も苦戦中です、特に僕の国の王子様が心配です、友達も出来てないみたいだし、一緒のメイドさんとしか話してないんだ。
話しの切っ掛けが欲しい、そう思っていると、あちらのメイドさんからお話がしたいとお誘いを受けました、借りたと言う会議室に入って用件は何かと聞きました。


「アサラン様に勉学のご指導をお願いしたいのです」


やっぱりと言う内容でした、ミウサと名乗ったメイドさんは魔法を重点的にお願いしてきます、でも僕は断りのお言葉を口にしました。
メイドさんはどうしてとビックリの表情です、何を驚いてるの?っと僕はそっちでビックリです。


「な、何故ですか!?報酬はお約束しますよ」

「報酬の問題ではないですよミウサさん、僕はアサラン様と面識がなく、放課後は友達と勉強会を開いています、つまり暇はありません」


それにと付け加える理由があります、ミウサさんがそれを聞いて来たけど誰でもわかるよね、そう言った事は本人がお願いに来るべきです、メイドを返してとか僕は嫌です。
お願いに来るならアサラン君を呼ぶように言いました、僕はそれだけ言って部屋を退出しようとします。


「ちょっと待ってください!」

「ミウサさん、王族とかここでは関係ないんです、みんな学生で仲間です、それを忘れないでください」


お願いするなら本人が来るのは当たり前です、召使いを使っていても隣にすらいないとかありえません、アサラン君はそんな引き腰だから友達が出来てないんだ。
注意されたミウサさんは言い返せません、王族としてもあれでは駄目でしょうと付け足しました。


「そ、そのような言い方、不敬罪になりますよ」

「その考え方がダメなんですよミウサさん、友達なら冗談も言える仲にならないとです、今の言葉を止める様なら、あなたは頼む相手を間違ってますよミウサさん」


クラスには男子生徒が後2人います、その2人は上下関係が出来ていてどちらも王子様です、あっちと友好関係を築いてくださいと、僕は席を立ちます。
どうしますか?と待ちます、ミウサさんは決められない様です、試験が近いのにこれでは先が思いやられます。


「ミウサさん、考えるところじゃないでしょ、主のアサラン君の為を思うならここは逃がしちゃダメです、もうっ!行きますよ」

「ちょっ!?どこへ行くのですか!」


部屋を出る僕の前にミウサさんが回り込み、行く手を塞いできました、行くところなんて決まっています、アサラン君のところです、ミウサさんが男性寮だからダメと言ってきます、寮は入らなければ良いんです、目の前までなら問題ありません。
ミウサさんに玄関につれてくるように伝え、僕たちは男性寮に向かいました。


「まさかこんな事になるなんて」

「何を言ってるんですかミウサさん、将来を考えればどう考えてもこっちでしょ、それとも違うって言うんですか?」

「そ!?・・・それはそうなんですが」


そうでしょっとにこやかに先を歩きます、顔色伺いの友達なんていつでも作れます、僕が今作ろうとしているのは、本当のお友達です。
信頼できる人を作る、それは将来役に立ちます、ミウサさんもそれは分かっていたんです、でも自分が決めていいのかと迷っていました、そんなこと迷う必要ないと男性寮の前で待っていると、やっと出てきました。


「ぼ、ボクに用って、何でしょうか?」


僕が怒ってると勘違いして、すごく怖がっています、それはまるで自分を見てるかのように思えたんだ、男性の姿の僕はいつもこんな感じで怖がっていました、でもここに来て変わることができたんだよ。
アサラン君も変われる、僕はそれを信じ彼の前に立ち手を差し出したんだ、友達になりましょうってね、アサラン君は戸惑い始めました。


「アサラン君ほんとはね、僕は勉強を教えるように言われたんだ、だけどそんなことは後で良い、学生の間に遊べる友達の方が大切だよ」


アサラン君はミウサさんを見て頷いたのを確認すると、僕の手を取ってくれました、最初はそれでいいかもしれません、でも今後は自分の意思を持たないといけません。
今はこれでいい、そう思って勉強する部屋に借りた会議室に向かったんだ、もちろんミレーヌとウイシャも連れて行きましたよ。
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