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3章 コスで反逆

62話 領主の欲しいモノ

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春に入り早速と言う感じか、はたまた結局こうなったかと思い遠くを見ます、相手は500の兵士です。
その内少数の兵士と、元村長らしき人達が馬で向かってきます、僕は予定通り待機してる兵士たちの元に走ります、元村長たちは分身に任せます。


「どうも兵士さんたち、遠征ご苦労様です」


馬車2台で陣まで近づき、出来るだけ笑顔をして敵意が無いように見せます、村長だと名乗り食料を提供したんだ、1つの馬車は領主様に渡す献上品、もう1つはご足労してもらったお詫びとして兵士に渡す物です。
村長になったお知らせも出来ず申し訳ないと伝えます、春になったら行く予定だったと謝罪したんだ。


「なるほど、しかし良いのかな?今元村長殿が村に向かったのだぞ、これでは話が出来ない」

「はて?何をお話しする事があるのですか?」


分かっているけど聞きます、僕が村を乗っ取ったと言ってきました、そこで僕との約束を破ったのが分かり、作戦は予定通りAで行きます。
あの時の成り行きを話し、僕は村人を救ったと説明したんだ。


「なるほど、村人が立ち上がり村長を追放したのだな」

「はい、あの時僕が村にいなければ、半数の村人は命を落としていたでしょう、それだけ危険な状態で、今後税を納める事は難しかったんです」

「それが本当なら領主様も困っただろう・・・しかし、その話がほんとか判断が出来んな」


その為の奉納品だと馬車をポンポンと叩きます、村人を苦しめず平和に作った食料だと和やかに伝えます、兵士さんは少し表情が緩み出しました。
今後は同じ量を税として納めると伝えると驚きを隠せません、僕の渡す量は1つの村が1つの季節で納める税だから当然です。


「まだ春に入ったばかり、それなのにどうすればこれほどになる?」

「僕が村長になったから出来たんです、効率よく作物を作り育てる方法を使いました、おかげでみんな前より体調も良くなったんですよ」


今頃村に向かった人たちも歓迎されてるでしょうと笑顔で伝えました、村では今お祭りをしています、戦う必要がないから村で歓迎するとお誘いします。
テントよりもフカフカなベッドで寝れて、食事も温かい物が出せる、魅力に思ってくれて移動の準備が始まりました、僕が話していたのは隊長さんだったとここで初めて知りました、そして村では元村長が何も言えず広場の宴会で接待を受けていました、こちらに気付いて走ってきましたね。


「お久しぶりです元村長様、今日は近くの村の村長様を招いて春を祝うお祭りをしていたんです、そちらの方たちはその元村長様たちですね」


ここにいる新しい村長はみんな分身です、その集まりを丁度していたんだ、村人たちは明るく健康な顔で兵士たちを迎え接待が始まりました。
隊長さんは馬の上で考え込んでいます、そして少しして元村長たちを睨みだして怖いです。


「キャックル村の元村長殿、どういう事かな?」

「そそ、それがですね・・・ワシにも分かりません、ここはほんとにワシのキャックル村なのか?」


ボロボロだった家も補修がされ、村人たちの体調も信じられないほど良くなり上等な服を着ています、それが信じられないと困惑しています。
隊長さんは目を見張るほどの違いがあるのかと聞き返します、元村長はそれに同意し信じられないと連呼してます。


「フム、それほどの違いがあるのだな、それで兵士たちがもてなしを受けていると」


少し離れた場所では、先に来ていた兵士たちが食事を取っています、美味いと声が聞こえるので元村長は言う事がないみたいだよ、ほんとにここが同じ村なのかと見回し、歩き始めました、そして僕が魔法で幻覚を見せていると言い始めます。


「そんなに難しい事ではないですよ、元村長様」

「信じられるか!一体どうすればこんなに変われる、言ってみるがいい」


畑の使い方やボウボウドリなどの家畜等々、混乱してても分かるようにご説明しました、これは他の村でも行われ領主様の税は今までの3倍になると答えを出します。
元村長たちは3倍と聞き声にならない様です、食料が豊富にある事でみんなが元気になったと、舞台で踊っている村人たちに手を振ると僕に返してくれます。


「新しい農業方法か、その証拠に馬車の荷があるという事だな、今後が楽しみだ」

「たた、隊長殿!?騙されてはいけません、こいつは魔法を使っているだけです」

「利益を生むならそれでも良いのだよ元村長、誰が村長なのかはそれほど重要ではないのだ、領主様に有益かどうかそれだ大切なのだよ、我々はその為にここに来ている、そなたが統治すればこれほどの利益を生みだせるのかな?」


隊長さんの言葉を聞き、元村長は何も言えませんでした、他の村長達もです、そして更に隊長さんは続きを話します、もし魔法で幻覚を作り騙しているのなら、それは直ぐに発覚する、その時は領主様の怒りを買い討伐に来るとすごい怖い顔です、村長たちはそれを見て怯えだしました。


「領主様が求めるのは結果だ、それは村長をしていたそなたが良く知っているだろう、だから村人が苦しんでいても税を絞った、その者はそれをしないでも利益を生む、更に今後も期待できるのだ、どちらかを選ぶとしたらこっちだろう」


隊長さんはそう言うと馬を降りて宴を楽しみ始めます、お酒を飲みだした兵士たちを見て元村長たちは諦めムードです、このままでは命が危ないと元村長たちは逃げる相談です、この為に見やすい広場を使っていました、隊長たちが分からないはずないんです、ゆっくりと広場から離れて行き入り口に歩き出します。


「どど、どうするのだ」

「わわ、ワシが知るか!このままではワシたちが領主に処罰されかねん、逃げるしかない」


村の入り口でそんな話をし始めています、薄暗いなか村の門を通り逃げれるとホッとした瞬間、隊長の声が響きます。
僕はそれを眺めちょっと遠めの丘に手を振ります、そこには孤児院を選んだ子たちが隠れているんです。


「やはり逃げるか、領主様に嘘を付き我々を動かしたんだから当然か」

「ちち、違うぞ隊長殿!?これは何かの間違いだ」

「我らに黙って出て行こうとして何が違うのだ?領主様が求めるのは結果だと言っただろう、言い訳は領主様の前でしてもらうぞ」


兵士たちに元村長たちは拘束され、馬車の中に連れて行かれました、これで全部が終わったと、分身の横でフードをかぶってる子供たちの頭を撫でます、本来なら彼らが行うはずの事だったからです。


「どうだったリンドウ君、これが作戦と言う物だよ」


村長たちの最後をみせる約束の為、子供たちを連れてきました、何もしないで復讐は終わりを迎えたんです。
出来れば自分たちの手で倒したかった、リンドウ君たちはそんな顔をしています、その為の力は今は無いと注意です。


「ねーちゃん、こんなのオレには出来ないぞ」

「そんなことは無いよ、君は十分勉強できてる、準備期間を知らないだけさ、その為の勉強は今始めてるでしょ」


相手は村長ではなく領主です、上の者が何を欲しがり、なにを重点に置いているのか見定め準備をする、その情報は何よりも大切なんです。
準備には時間が掛かります、今回は間に合わなかっただけ、本来はリンドウ君たちに任せても良かったんだ、でも僕の本音は子供の彼らにやらせたくなかった、今回の様に強引なやり方をしたのは、僕が務めるのが良いと思ったからなんだ、準備が不完全だと負けるのは僕たちの方、それをきつく言い聞かせます。


「力がないとあいつらみたいになるんだな、良く分かったよねーちゃん」

「でもねリンドウ君、力を悪い方には使っちゃダメだ、それが持ってる者の務めだよ」


難しい事は準備の仕方が分かってからにしてとリンドウ君に言われました、でもそれはほんとに注意が必要です、勝った者が正義になる、それは当然の事なんだ。
貴族が偉そうにしているのも力を持っているからです、今回はそれを利用させてもらっただけなんだ、領主を敵に回したら大変です、その時の目的を見据え、作戦を考えて勧めなくちゃダメなんだよ。
歓迎された兵士たちは、宿も素晴らしくて狐に化かされたような顔をしていました、一夜を村で過ごし次に日には帰って行きました、元村長たちは鉱山送りになったと、しばらくして報告がされたんです。
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