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3章 コスで反逆

46話 結局成功?失敗?

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「うふ、ふふふふ~」

「えへ、えへへぇ~」


受付でエリーヌとパーシェントが気持ち悪く笑っている、新年祭最終日なのに嬉しそうだ、本来は両隣にいるユユムスとシシムツの様にムスーっと、いやそうな顔をして仕事をするものだ、毎年恒例と言う物だ。
昨日と一昨日のデートで何かあったんだろう、ここは一つ聞くべきだろうな。


「お前たち、リュウとのデートは楽しかったか?」


俺の質問にふたりはニヤケ顔で最高だったと言い放った、それは見れば分かる、だがいつもの女性陣の顔と違うから気になったんだ。
いつもなら夜の話題ばかりが話される、拍子抜けだったとか楽しかったとかな、ギルドの仕事中なのにだ、だから俺は近づかなかった、しかし今日は一切話されずニヤ付いてるだけだ、聞いてほしかったのか、そこからは順に内容を話したよ。
とても楽しい時間だったのは言うまでもないが、次のデートの約束まで取り付けたとエリーヌは言ってきた。


「ちょ、ちょっとエリーヌ、そんなの聞いてない」


ズルいとエリーヌを揺すり怒り出した、どうやらデート内容は違うようだ、エリーヌが楽しみだと笑っているよ。
パーシェントはどうやら普通のデートを楽しんだようだな、だがそこでまたおかしい事がある、こいつらは直ぐに夜の話題を話す、しかしデートの内容ばかりで出てこない、どうしてだろうか?


「楽しかったのは分かった・・・それでリュウは紳士だったか?」


俺はこの話題が好きではない、夜の話をするなんて紳士じゃない、お互いの秘密にするものだ、だが今回はもしかしてと思って聞いた、予想通りリュウとは夜を共にしていないようだよ。
ふたりは顔を逸らし仕事を始めようとしている、だがユユムスとススムツがそれをさせる訳はない、直ぐに何でなのか聞いたんだ。


「い、良いじゃないそんな事、楽しかったのはほんとだもの、ねぇパーシェント」

「そそ、そうよねエリーヌ、イヤだわユユムスにシシムツ、ははは」


ふたりは笑って済ませている、それで確定した、それが分かりもっと追及され始めたよ、そして結局どうして夜を共にしなかったのか言わされた、デートが楽し過ぎて飲み過ぎて寝てしまった。
そんな間抜けな話を出来ないのも分かる、ユユムスたちは笑っているが俺はそうは思わない、一番の楽しみを忘れるほどに我を忘れていた事になる、それだけリュウとのデートは楽しかったんだ、それはすごい事だ。


「いったいどんな風に街を歩いたら、目的がそれな奴を忘れさせることが出来るんだかな」


エリーヌたちは恥ずかしくて泣きそうだ、楽しかったから良いんだとか負け惜しみを言っている、ふたりはリュウと一夜を共にし既成事実を作る予定だった、だがそれすらも忘れる程遊んでしまったんだ。
最後がダメなら意味がないと言われ、ふたりはぐぅの根も出ないようだよ。


「い、良いんだもん!アタシはリュウ君と旅行に行くから、その時まで清らかな付き合いをするの」

「ず、ずるいわよエリーヌ!旅行に連れてってよ」

「い、嫌に決まってるでしょ!」


パーシェントが友達とか言われ泣きつき収集が付かない、エリーヌは絶対譲らないだろう、2人きりの旅行だからな。
しかしその旅行は行けるだろうか、昨日の事件はまだ公になっていない、それは直ぐに噂になるだろう。


「ふたりとも、ちょっと良いか」

「「うぅ~」」


涙目なふたりがちょっと嫌そうな顔をした、俺にもいじられると思ったんだ、しかし俺の真剣な目を見て違う事が分かったらしく真顔になった、俺の目線の先にあるテーブルに3人で移動した、入り口のテーブルに集まると早速昨日の夜の事件を話した、ふたりは驚き声も出ない。
ふたりの気持ちはわかる、リュウの姉のエリナがやった事だからな、きっと今頃リュウは気が気じゃないかもしれない、明日の訓練に来れるのか心配だ。


「分かると思うが誰にも言うなよ、これは公表されてない話だ」


何度も頷くが話はこれだけではない、これからが重要だ、きっとこの事件は大事になり国が動くんだ、今のうちに俺たちも動かないとリュウたちを助けられない、だから二人に話した。
しかし、俺の話を聞きギルマスに話を持ち掛けたいんだが、ふたりが悔しがっている、どうしたのかと聞いたら、リュウと夜を友に出来なくて悔しがっているんだ。


「そんな事を考えてる場合じゃないだろう、今は急がないと」

「「そんな事じゃないわよ」」


テーブルを叩き、もうチャンスがないかもしれないって怒っている、確かにそうなんだがそれどころじゃない、下手をしたら死刑なんだ、急いで手を回さないといけないんだ。
リュウが危ないんだ、それなのにふたりはその事で頭がいっぱいだ、真剣に聞けと俺はテーブルを叩き怒りを面に出した、しかしふたりは落ち着いてため息を付いて来たよ。


「ジャービスさんこそ落ち着いてませんよ」

「そうですよ、リュウ君が城の騎士ごときに捕まる訳ないじゃないですか、絶対逃げるわ、だからアタシたちは困ってるの、もっと冷静に考えて」


逆俺が怒られてしまった、旅行も危ういとか悩み始めている、そんな事を言ってる場合ではないが確かに俺も冷静ではなかった、しかしそう言っても手立ては思いつかない、ここは違う方向に話を変えふたりに頑張ってもらおう。


「この事件を解決させれば、リュウは二人に感謝するだろ、そうなれば旅行も行けるんじゃないか?」

「「なるほど」」


分かったかと作戦の説明を始めた、ギルマスのネミナはただでは動かない、リュウの評判が広まりギルドの期待を持ち始めてもだ、国を相手にしても良いと思わせなければこちらには付いてくれない、当然ではあるんだが難問だ。
何か案は無いかと期待した、正直俺には手立てがない、ユニークスキルを持っていることくらいだろう。


「出来るならユニークスキルは話したくないんだ、それをすると国の管理下に置かれてしまう」


俺の作戦はそれだ、有益ならば処罰も無くなる、しかしそれをすると今までの生活が出来なくなる、リュウもエリナもそれは望まないだろう。
それにだ、エリナがそれほどの事をした原因も気になる、彼女は防衛の為に力を使うがやり過ぎるほどではなかった、それが今回は屋敷を粉々にした、余程の事を貴族がしでかしたんだ、そんな奴らにユニークスキルの存在は教えてはいけない、それが例え戦うことになってもだ。


「だから何かないか」

「「う~ん」」


イーザスたちを味方につけネミナに話す案も考えた、しかしそれでも少し弱いんだ、相手にしたのは伯爵だから確実な手が欲しい。
エリーヌは、イーザスたちの説得を強化しようと言ってきたよ、もしリュウたちが国に掴まったら戦いになるかもしれないと脅す案だ。


「反対勢力の出現か、それなら良いかもしれないな」

「もっと良い方法がありますよ」


パーシェントが得意げに言ってきたよ、そして小声で話したい様でテーブルに身を乗り出した、俺たちを手招きして誘ってきたよ、顔を近づけて聞いた内容はとんでもない話だった。
俺は立ち上がり真実なのか確認したんだ、パーシェントは椅子にもたれ掛かってデートの時に聞いたと得意げだ。


「ドラゴンを解体出来る集団と仲間・・・それがほんとならイーザスたちと同格と見て良い、それなら行けるかもしれない」

「そ、それならアタシだってあるわ、リュウ君の持ってるお酒、もっとすごいのがあるのよ」


エリーヌが焦って言ってきた、パーシェントに手柄を取られると思ったんだろうな、ブランデーと言う酒の話をし始めた、他にもあったらしいがブランデーが美味すぎて飲み過ぎた為寝てしまったと言い放って、それさえなければとか悔しそうだな。
ネミナは酒好きだ、個人的に率先して動く切っ掛けには丁度良い、おかげで出だしも思いついた、早速俺たちは3階に上がりギルドマスターの部屋をノックしたんだ。
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