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5章 コスの人生

95話 奥の手

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めり込んだキューロスは動きません、でもまだ息はあります、学園長たちがヨロヨロと立ち上がると、僕の近くに来てどうなってるのじゃ?って顔をしてきました。
聞きたいのは僕の方です、虹色姫様は正直防御重視のコスです、力はそれほど無いのでキューロスが弱いんだ、黒田の時より弱い気がしています。


「さすが勇者様と言う事か?」

「魔王様、それほど強くしてないんですよ、皆さんと戦ってる時と何か違うのかも」


キューロスを皆で見ていると、壁から出て来て頭を押さえだしました、どうやら何かに抵抗されてるようです。
声を聞くと、黒田の精神が残っていて抵抗しているようでした、僕を傷つけるなとか言ってます、その言葉だけを聞くと心を入れ替えたんだと嬉しくなるね、だけどそうじゃありません、僕を傷つけて良いのは自分だけと言ってるんです。


「変態じゃな」

「そうですね学園長、僕にはそんな趣味はありません、付き合ってられません」


話を進めてご退場願おうと、僕は黒田の名を呼びます、僕を笑顔で見て来たけど、それはとてもキモかったんだ、
そんな僕の表情がいけなかったのか、黒田の意識は奥に引っ込んだようです、キューロスが息を切らせて睨んできたよ。


「あの男がここまで抵抗するなんてね・・・でも助かったわ、これでもう出てこれない、あなた結構残酷なことするわね」

「嫌いな人にキモイ事を言われたから断っただけです、それよりもお祭りの邪魔なので退場してください」


リュウがいつの間にか兵士たちを呼んでいてくれました、キューロスを囲み逃げる事は出来ません、でもキューロスは高笑いを始めます、余裕があるのもここまでだっと、魔王様も本気の魔力を纏います、紫のオーラが体を覆いすごい迫力です。
学園長の掛け声があれば全員で突撃できる、そんな雰囲気を見てキューロスは笑うのを止めました、そして手の平を上にしてガラスの球を出したんです。


「これが何か分かるかしら?」


僕は分かりませんでした、だけど学園長と魔王様は分かったようで顔色が青くなります、キューロスは分かってもらえてニコリとしましたね。
球をよく見ると文字が沢山書かれています、魔法陣のようなので何かの術を発動させる道具なのかもです、そしてそれは学園長と魔王様が焦るほどのモノです。


「うふふ、そうよあなたたち、動くとこれを発動させちゃうから」


キューロスは得意げに球を高々と上げました、高笑いをし始めたので、学園長に説明を求めます。
あれは極大魔法【メテオストーム】を使う為の魔道具、その名も暗黒水晶だそうです、それが砕けると空から無数の隕石が降って来るそうです。


「無数の隕石ですか」

「そうじゃ、しかも全世界ランダムに振って来るのじゃ、突然そんな物が無数に振ってくれば世界は終わる」

「本来作る事も出来ないのだよ勇者殿、伝説の古龍たちの魂を集めなければいけないのでな、しかしあれがあそこに存在しているという事は、既に準備が整っておるのだ」


よくご存じで、キューロスは説明ありがとうっと笑います、そして指を学園長と僕に向けたんだ、魔王様を見て僕たちを始末する様に命令してきました。
魔王様は拳を震わせ横にいる僕を見ます、これは仕方ない事だと言い始め構えたんだ、剣を抜かないあたりまだ本気じゃないよ、それでも戦うわけにはいきません、僕は手を前に出して必要ないと伝えます。


「しかし勇者殿、世界を救うにはこれしか方法はないのだぞ」

「そんな事は無いですよ、キューロスさん、それ砕いて結構です」

「「「「「え!?」」」」」


ここにいる全員から驚きの声を貰いました、でも虹色姫様の危機回避スキルを甘く見過ぎです、騒動が絶対に起きるのは問題だけど、それを必ず解決するんだ、それは敵にとって最悪のスキルなんだよ。
敵の作戦はどんな事が起きても防がれる、しかも成功間際でね、早く砕いて発動させてと説明します、どんな事が起きてそれは防ぐのかは分かりません、だけどそれは必ず防がれるんだよ。


「ふふふ・・・あははは!甘く見られたものね、後悔しなさい勇者」


キューロスが水晶を割るとすごい魔力の塊が上昇していきます、天井を壊し空高く昇って行くのを見ました。
空が暗くなり、とても大きな魔法陣の中から岩が出現し始めます、それが1つでも落ちたら世界は終わる、みんなが絶望し始めてしまいます、キューロスはそれを見て嬉しそうですよ。


「さぁ勇者どうするの?何も起きないわよ」


対処して見せなさいっと手を向けてきます、僕が何かするわけじゃないんだ、勝手に防いでくれるからすごいんだよ、虹色姫様は守られるお姫様だからね。
僕がそんな事を思っていると、会場の映像魔道具が勝手に作動します、そしてそこには世界各国で大会を見ていた人たちが映っていたんだ、それを見て僕は悟ります、映っているのは分身たちだからね。


「皆さん、今空に大きな岩が現れています、それは魔法で世界を壊す脅威、でもご安心下さい、僕の危機を知り光の騎士たちが救ってくれます」


急な説明を始めた僕に注目が集まり、何処にそんな騎士がいるんだと騒ぎが起きました、映像の中の分身たちが頷いて画面から消えるのを僕だけが見ていたよ、そして誰かが空に向かって声を上げます、その先には虹色に輝く鎧を纏った騎士がいたんだ、チェンジ式の虹色鎧は大会の最後にお披露目する予定でした、だけどここで使います。
騎士は剣を一振りして隕石を両断します、更に一振りして粉々になるのが誰でもはっきりと見えます、それは沢山の画面全部で起きている事です、僕たちのいる学園都市ではまだ起きていません、だけど少しして竹の15が鎧を纏い始めたのをザナルパープルちゃんたちが見てビックリしています。


「せ、先生」

「行ってくるよザナルパープルさん、そして救って来る」

「はい先生!」


全身七色の鎧を纏い竹の15は飛び立ちます、しばらくして空の隕石は粉々になりました、キューロスは口をあんぐり開けてしまっているね、雲は無くなり始め明るくなっていく空を見上げ、この後どうするんでしょうね。
大量に隕石を世界に落としたのに、それはあっさり防がれたんだ当然だよね、勇者は一人でそれを防ぐことは出来ない、世界の偉い人がここに集まった時、それを見せて絶望に落とすつもりだったんだ、姿を見せて余裕の登場をしたのが間違いだったね。


「さぁもう終わりだよね、どうするのかな?」

「ふふ、うふふふ・・・まだよ、まだワタシは負けてない」


負け惜しみを言ってきたキューロスから魔力の高まりを感じます、でもそれは僕の一言で止まることになります。
僕はキューロスではなく、黒田に「許してあげるから出て来なさい」っと言いました、それはすごく効いたんだよ、直ぐに黒田は出て来てキューロスと入れ替わる事が出来たんだ。


「ほんとか!?ほんとに許してくれるのか」

「そうだね、そのチャンスをあげるよ」


握手を求めると、黒田は良い笑顔でそれを受け入れました、キューロスはまだ中にいます、だけど主導権は取ってるそうです、何でもすごく弱っているみたいで簡単だったらしいよ、さっきの威勢はハッタリだったみたいです。
キューロスが得意な影魔法も黒田が使える様で、これから話合って仲良くして見ると言い出します。


「随分変わったね黒田」

「もうキモくないか?」

「いや、まだキモいよ・・・だけど見直した」


まだ全部は許せない、黒田の趣味も分からないけど前とは違うんだ、仲良くやっていける様、僕も話し合いをしなくちゃね。
その後の学園祭は、とても平和に終わりました、世界の危機も救われみんなが一丸となったんだよ。
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