虫愛ずる令嬢は、追放先から王国を蟲毒に沈める
夜会の片隅で虫をスケッチする「虫けら令嬢」セリーナ。彼女は王太子の婚約者でありながら、その奇癖ゆえに社交界から爪弾きにされていた。しかし、その日常は突如として引き裂かれる。衆人環視の中、婚約者である王太子から突きつけられたのは、身に覚えのない罪と、無慈悲な婚約破棄の宣告だった。
全てを奪われ、魔獣が跋扈する「嘆きの森」へと追放された彼女は、絶望の淵で死を待つはずだった。だが、そこでセリーナは自らの血に眠る、恐るべき力に目覚める。それは、森羅万象の蟲たちを従え、意のままに操る古の能力――『蟲統術』。
孤独な森で出会った謎の男・イーサンの助けを得て、セリーナは蟲の言葉を解し、彼らの「女王」として覚醒していく。蝶は千里眼の斥候となり、蟻は最強の諜報網を築き、蜂は必殺の暗殺部隊と化す。彼女の知恵と蟲たちの力は融合し、世界で最も静かで、最もおぞましい軍勢が産声を上げたのだ。
やがて彼女は知る。自らを追放した元婚約者と新たな寵姫が、国を内側から蝕む、あまりにも邪悪な陰謀を進めていることを。それは、特殊な花と蝶が生み出す麻薬で国民を骨抜きにし、王国を乗っ取る計画だった。
個人的な復讐は、国家を救うための聖戦へと変貌する。
「害虫は、駆除しなければなりません」
かつて「虫けら」と蔑まれた令嬢は、今や冷徹な復讐の女神と化した。彼女の静かなる侵略が、腐敗した王国を音もなく蝕み始める。これは、絶望の底から這い上がった少女が、自らを虐げた偽りの王家を「蟲毒」に沈める、壮絶な革命の物語。
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