【完結】薬学はお遊びだと言われたので、疫病の地でその価値を証明します!

薄暗い部屋の隅、背の高い本棚に囲まれて一人。エリシアは読書に耽っていた。

周囲の貴族令嬢たちは舞踏会で盛り上がっている時刻。そんな中、彼女は埃の匂いに包まれて、分厚い薬草学の本に指先を滑らせていた。文字を追う彼女の姿は繊細で、金の髪を揺らし、酷くここには場違いのように見える。

「――その薬草は、熱病にも効くとされている」

低い声が突然、彼女の背後から降ってくる。
振り返った先に立っていたのは、辺境の領主の紋章をつけた青年、エルンだった。
不躾な言葉に眉をひそめかけたが、その瞳は真剣で、嘲りの色はなかった。

「ご存じなのですか?」

思わず彼女は問い返す。

「私の方では大事な薬草だから。けれど、君ほど薬草に詳しくはないみたいだ。——私は君のその花飾りの名前を知らない」

彼は本を覗き込み、素直にそう言った。

胸の奥がかすかに震える。
――馬鹿にされなかった。
初めての感覚に、彼女は言葉を失い、本を閉じる手が少しだけ震え、戸惑った笑みを見せた。

※拙い文章です。読みにくい文章があるかもしれません。
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