オリュンポスの秘宝をチェックメイトしようとしたら、古代ギリシャの魔物がやってきた
「無礼者。わたくしはテーバイの王女アリアです」
彫りの深い横顔。光を透かすと金に見える栗色の髪。
淡い灰色の瞳は大きく、まばたきが少ない。見つめられると、誰もが手を止める。
将棋盤の前で、幾人もの棋士がそうやって指し手を見失った。
三週間前に失踪した幼なじみ、女流二段・星名亜里亜。
その顔で、その名で、王女アリアは俺のことだけきれいに忘れていた。
全十層、誰も最下層に届かないダンジョンRPG『オリュンポス』。
三年やり込んだ九条悠真は、第九層で名前のない白い駒を拾う。
直後、画面の中の女が告げた。――たすけて。むかえにきて。
その夜、悠真はゲームと同じ魔物に襲われ、真っ赤な空の下で目を覚ます。
秘宝を奪われ、二万人が地割れに消えた街。彗星が落ちるまで四十日。
地割れの底は、悠真が三年潜ったあの迷宮だった。
王女アリアの首飾りには、将棋の駒が彫られた宝石が十個。
本人は、その意味を知らないという。
魔物を詰ませれば宝石が灯り、魔物は仲間になり、剣の撃ち方が増えていく。
気位が高く、剣を持てず、それでも真っ先に前へ出る王女。
高いところが苦手で、方向音痴で、褒められると三秒固まる。
走るために作られた軽よろいの丈を気にしながら、彼女は迷宮を降りていく。
読むのはアリア、撃つのは悠真。
剣も振れない男と、剣を持てない王女。
――だが悠真は、初めから気づいている。
この王女が、誰なのかを。言えないまま、十層を降りていく。
彫りの深い横顔。光を透かすと金に見える栗色の髪。
淡い灰色の瞳は大きく、まばたきが少ない。見つめられると、誰もが手を止める。
将棋盤の前で、幾人もの棋士がそうやって指し手を見失った。
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その顔で、その名で、王女アリアは俺のことだけきれいに忘れていた。
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直後、画面の中の女が告げた。――たすけて。むかえにきて。
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本人は、その意味を知らないという。
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気位が高く、剣を持てず、それでも真っ先に前へ出る王女。
高いところが苦手で、方向音痴で、褒められると三秒固まる。
走るために作られた軽よろいの丈を気にしながら、彼女は迷宮を降りていく。
読むのはアリア、撃つのは悠真。
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――だが悠真は、初めから気づいている。
この王女が、誰なのかを。言えないまま、十層を降りていく。
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