神さまは、まだ名前を持たない。~忘れられたものだけを覚えている私が、名もなき神に名前をあげるまで~
ある日、東京の駅がひとつ、消えた。
誰も気づかない。誰も覚えていない。
「そんな駅、最初からなかったよ」と、みんなが笑う。
天城ミコトだけが、その駅の名前を覚えていた。
彼女は人の顔を覚えられない。母親の顔さえ、翌朝には輪郭がぼやける。
その代わりに――世界が忘れたものを、ひとつ残らず覚えている。
消えた駅の跡地に立っていたのは、真っ白な駅名標だった。
そこにはこう書かれていた。
『名前をつけてください』
そして改札の向こうから、名前のない少年が歩いてきた。
「僕には名前がない。だから、君がくれた名前を生きることにする」
忘れられたものが怪異になる異界《忘界》。
名前を与えて存在を繋ぎ止める少女と、名前をもらって神になった少年の物語。
――忘れられたものに、名前を。
誰も気づかない。誰も覚えていない。
「そんな駅、最初からなかったよ」と、みんなが笑う。
天城ミコトだけが、その駅の名前を覚えていた。
彼女は人の顔を覚えられない。母親の顔さえ、翌朝には輪郭がぼやける。
その代わりに――世界が忘れたものを、ひとつ残らず覚えている。
消えた駅の跡地に立っていたのは、真っ白な駅名標だった。
そこにはこう書かれていた。
『名前をつけてください』
そして改札の向こうから、名前のない少年が歩いてきた。
「僕には名前がない。だから、君がくれた名前を生きることにする」
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――忘れられたものに、名前を。
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