ライラックの木のしたで
グリエントの第一王女、ルーチカは、長く敵対していた敵国の長、シュターデル公と結婚する。
両国の和平を恒久とするために。
しかし、この結婚には裏があった。
ルーチカは、子を孕めない。
十八歳になった彼女は、体こそ女らしく育ったけれど、月のものが訪れてない半端者だった。彼女の父、グリエントの王は、それを知った上で、敵に嫁がせた。
王であれ公であれ、後継者は正統な結婚で生まれた子女にしか許されていない。子を孕めないルーチカが公妃となれば、シュターデル公の血筋は絶える。そして、現シュターデル公は、現在の公家唯一の人物。
幾万の兵を送るより簡単に、容易くシュターデルを倒すことができる。後は、娘の嫁ぎ先だからとか親族なのだからとかなんとかで、シュターデルを王国に併呑してしまえばいい。
――そんなこと、させないわ。
女じゃないと、母国で虐げられてきたルーチカ。
彼女は、結婚を前に夫となる公にすべてを打ち明け、とある作戦を提案する。
それは彼女が死ぬこと。
不幸な事故でルーチカが死ねば、公は再婚できる。グリエントからの難癖を避けて、後継者を残すこともできるようになる。
夫が殺したのではないか。グリエント側に疑われないように、挙式とその後、仲睦まじい夫婦の演技を求めたルーチカだけれど。
夫、ラスティンの思惑は少し違ったようで?
子を孕めない王女と、彼女を想う公のすれ違い恋愛物語。
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しかし、この結婚には裏があった。
ルーチカは、子を孕めない。
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――そんなこと、させないわ。
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