「座らせておいてやった俺の慈悲を称えろ!」

 商人の街で香りの配合を支えてきたエルティナは、夫のゼノヴィスから突然の『離縁』を突きつけられる。

「お前のような地味な女は、我が商会の看板を汚すだけだ」——

 実力はすべて夫の手柄にされ、家を追い出されたエルティナ。しかし、彼女には亡き祖母から受け継いだ、人の心を癒やす『特別な調香』の技術があった。

 行き倒れかけた国境で、不眠に悩む隣国の公爵リュシアンを救ったことから、彼女の運命は劇的に動き出す。エルティナが自らの店を持ち、調香師として輝き始める一方で、彼女を失った元夫の商会は、目に見えて没落していくことになり……。
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