願い事は慎重に 向上心旺盛な双子の兄なんて持つものではない
上級天使・第二階級の智天使の魂を持つ松島仁志は、選別の天使が間違えて人間界修行に出した失態ゆえに、松島家の双子の弟として生まれた。
兄の高志はイケメン、陽キャラ、文武両道の人気者。対する仁志は、顔は一卵性双生児ゆえ高志とそっくりだが、何を考えているのか両親さえ分からない奇妙な人間と、周囲から思われていた。
仁志はわざと、人と関わらないようにしていた。彼は1歳のときに、既に18歳でこの世を去ることを知っていたため、思い出を家族や知人に残したくなかったのだ。
毎夜、仁志の夢の中には天使を管轄する神様が、「天使に戻ると約束するなら、事故死で痛い思いをさせず昇天させよう」と勧誘したが、仁志は頑として首を縦に振らなかった。人間寿命を全うすれば、天使に戻らず済むからだ。一度、人間になって自由意志を持ってしまったので、疑問すら抱かず、神様の指示通り働く天使に戻るのは無理だった。
それにホワイトシェパードの愛犬エイジと過ごすことを至福としていた仁志は、エイジの最後を看取る誓いを立てていた。
愛犬が亡くなり、大学に合格した双子は、運命の通り18歳で車の衝突事故に巻き込まれて事故死した。
人間修行を全うした仁志は、これで天使に戻らず、先に虹の橋を渡ったエイジと共に天上界でグータラ暮らす権利を得た。
しかし一緒に亡くなった双子の高志が欲張りな願い事をしたせいで、望まぬ女性化をしてしまった。高志の願い事は、地位が高く、贅沢できて、容姿が良いこと。それらは全て斜め上に叶えられ、貴族令嬢として天上界世界の皇帝庶子のワイナルト公爵の婚約者になってしまったのだ。
地位も名誉もいらないから男に戻りたいと高志から執拗に懇願された仁志は根負けし、高志を男に戻す手段として、天上界守護総軍の副軍団長となり、猶予期間2年以内に武勲を上げなければならない。
仁志に協力したのは、仁志の人間時代から、神様の命令で仁志の守護をしていた中級天使・主天使長のエルグランドこと天堂翼。彼は仁志の上官として臨時軍団長に就任し、仁志と共に軍務に就くが、拗らせた愛情を抱く天堂は、邪魔な高志がこのまま貴族令嬢としてワイナルト公爵に嫁いでくれた方が好都合と思っていた。
仁志は、上級天使の魂を持っているから依怙贔屓で副軍団長になったのだと、当初は軍団から反感を買っていた。しかし誤解が解けたあとは一致団結して難関任務をこなし、ついに高志を男性に戻すことに成功する。
天上界では、人間時代でどれだけ親しくても、一緒の世界で暮らすことは稀なことだった。しかし高志は軍に入隊することで、仁志と離れない手段を取った。双子としての愛情ではなく、副軍団長にして伯爵の地位を持つ仁志のもとで優雅に暮らし、いずれ自分も騎士となって武勲を立て、貴族になる野望のために。
懲りない高志の野望の行き着く先の結末は、いかに?
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天上界では、人間時代でどれだけ親しくても、一緒の世界で暮らすことは稀なことだった。しかし高志は軍に入隊することで、仁志と離れない手段を取った。双子としての愛情ではなく、副軍団長にして伯爵の地位を持つ仁志のもとで優雅に暮らし、いずれ自分も騎士となって武勲を立て、貴族になる野望のために。
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