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第46話 第三王子は初めて魔法を使う!

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レーニャさんとレイニーはソフィアちゃんの両隣に立ち手を繋いで部屋を出て行った…… そのうしろ姿を見て『宇宙人捕獲』写真を思い出し、墓場まで持って行こうと誓う『シュウ』です。


日々、魔力循環と魔力制御の特訓を積み重ね、夏休み終了まで2週間となった。まだ、自由自在とは言えないがある程度の魔力循環が出来るようになった! ヒャッハー!

調子に乗るとあの最凶コンビにボロクソやられるので自重しないと……
エリスの予定では残り1週間で瞬間移動テレポートをマスターして、トレスベン学院へは瞬間移動《テレポート》で戻るという。僕にとっては高難易度のハードルが準備されてしまった。


しかし僕には、トレスベン学院で学んだ『心』『技』『筋』の精神がある!

『心』とはライバルは昨日の自分、昨日の自分に打ち勝つ心の強さ、筋肉愛! 

『技』とは筋肉に対しての尊敬、敬愛を持ち、そして筋肉の知識と筋肉をイジメ抜く技術!

『筋』とは筋肉のスジ一本、一本に筋肉愛を注ぎ込み鋼の肉体を作り、美しく力強いポージングフォームを生み出す!

この精神さえあれば、どんな困難にも打ち勝つことが出来るのだ! 決してマインドコントロールじゃないぞ! トレスベン魂だ!





「シュウ君、レイニーさん、ソフィアちゃん。今日から魔法発動の練習を始めるわよ」

「ついに魔法使いになることが出来るのか」

「エリスおねえちゃん、わたしも魔法使いになるの?」

「ソフィアちゃんは、女の子だから私と同じ魔女になるのよ」

「エリスおねえちゃんとおなじ! うれしい!」

ソフィアちゃんはお母上の正式な養子になり、エリスとソフィアちゃんは姉妹となった。すごい姉妹仲が良い! 僕の兄弟たちとは大違いで羨ましい! 今頃、兄上達はどうしているんだろう…… まぁ、どうでもいいや! この考え方がダメなんだろうなぁ。


「レーニャはソフィアちゃんのサポートお願いね」

「ソフィアお嬢様、レーニャがついていますので思い切り、ロッシュウ様に魔法をぶち込んでやって下さい」

「シュウお兄ちゃんに?」

「そうです。多少なら死にません」

「レーニャ! ソフィアちゃんに変なこと教えないで!」

「申し訳ございません。つい本音が……」


――レーニャさん。僕を亡き者にする気が満々じゃないですか…… どこからそんなる気がでるのか? レイニーも『うんうん』と頷くのはやめて欲しい……


「もう、レーニャったら! 真面目に始めるわよ」


「では、私の隣りに立って、それで私のマネをして利き手の人差し指を前に指差してもられる」

レイニー、僕、エリス、ソフィアちゃん、レーニャさんが並んで、エリスと同じように指を前に指差した。

「じゃ、これから火炎魔法の初級魔法『火炎』よ。私が魔法の詠唱を唱えるから私のあとに続いて詠唱を唱えてみて。僕は指先に魔力を集中させるのがコツよ。制御するのも忘れないでね」

「火の神よ 我が願い 聞き届けよ 火炎」

エリスの指先から小さな火球が飛び10メートル先で消えた!

「レイニーさんからお願い」

エリスから指示を受けたレイニーが、

「火の神よ 我が願い 聞き届けよ 火炎」

レイニーの指先から小さな火球が飛び3メートル先で消えた。

「指から火がでたぁぁぁ! 見ましたか? ロッシュウ様! レイニーはやれば出来る子なんです!」

レイニーは驚いた顔で僕の方を見た!

「スゲーなレイニー! これでお前も魔女の仲間だな!」

レイニーは嬉しそうに、

「これから練習を重ね。エリス様の役に立って参ります!」


――えっ!? 僕じゃないの?


「――次は、シュウ君の番よ」

僕は指先に魔力を集中させ詠唱を唱えた。

「火の神よ 我が願い 聞き届けよ 火炎」

僕は指先に魔力を循環しから小さな火球が飛びレイニーと同じく3メートルほどで消えた!

「本当に火がでたぁぁ!」

手品じゃない! マジで指から火が出た! 僕は興奮しながらエリスに話しかけた。

「エリス! これが魔法なんだね! 生まれて初めての魔法が出来たんだ!」

「そうよ! これが魔法よ。これから魔力の循環、制御、発動の訓練していけば、自由自在に魔法を操ることができるわ」


――僕は、魔法使いになってどんなことをするんだろう……


「次は、ソフィアちゃんの番よ。魔力制御を気を付けるのよ。レーニャもソフィアちゃんのサポートお願いね」

「ハイ! エリスおねえちゃん!」
「はい、姫様。お任せください」

ソフィアちゃんは右腕を前に掲げ、人差し指を伸ばした。

「火の神よ 我が願い 聞き届けよ 火炎」

指先から僕たちよりもやや大きいサイズの火球が現れ、遥か遠くまで飛んで消えた! 

「すごいわ! ソフィアちゃん! ここまで出来るとは思わなかったわ! えらい、えらい!」

エリスは、ソフィアちゃんを抱きしめ頭をなでなでしている。

「えへへへ。わたしすごい?」

ソフィアちゃんは自慢げにみんなに天使の笑顔を振りまいていた。

「ソフィアちゃん! ホントにすごいわ! あと、もう少し魔力制御をがんばれば完璧よ」

「えへへへ。わたし、がんばる!」

「ソフィアちゃん。えらいわよ~」

エリスは、ソフィアちゃんの頭をさらになでなでしていた。


レーニャさんによれば、ソフィアちゃんの魔力量はエリスに匹敵するほど多いそうだ。5歳児ということも考慮してもあの火球の小ささは魔力制御がほぼ完璧に近い状態だという事だった。


――おそろしい子! ソフィアちゃん……  

――そして、スーパー天才5歳児は、チート持ちだったか……
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