教官は、俺を好きになっちゃだめらしい。
夜になると、人々の記憶が失われる世界。
《夜番》の隊員である二十一歳の青年ニコには、最近ちょっと困ったことがある。
十二歳年上の『教官』ことダリオ・ヴァレンティの家が、ほとんど自宅になっていること。
食事を作ってもらって、風呂を借りて、勝手に泊まって。
ときどき、ベッドまで一緒になる。
まあ、別にそれはいい。教官のことは好きだし、居心地もいい。
問題は、誰でもよかったはずなのに、だんだん教官じゃなきゃ嫌になってきたこと。
ニコはもともと、人にも記憶にも執着しない。
写真を撮って、メモを残して、それでも忘れたなら仕方がない。
人付き合いだって、今が楽しいならそれでいい。誰かひとりを特別扱いする理由なんてなかった。
なのに、気づけばカメラには教官ばかり。誘われても「なんか違う」。
何となく帰る先も教官の家。
「俺、教官がいい」
ところがダリオのほうは、どうもそれでは困るらしい。
ニコを拾い、長年面倒を見てきた彼は、自分の感情をずっと庇護欲だと思っていた。
拾って、守って、面倒を見てきた相手を、それ以上の意味で望んでいいはずがない。
……どうやら教官は、ニコを好きになってはいけないらしい。
ニコには、いまいちその理屈がわからない。
世話焼きで生真面目な年上の教官×貞操観念も生活能力もガバガバな年下隊員。
煙草の火を分けてもらったり。
時にはニコが甘やかす側に回ってみたり。
命令違反をしてしこたま叱られたり。
キスをしたり、抱き合ったり、朝まで一緒にいたり。
日常も、任務も、恋も、その先も。
忘れていくものばかりの世界で、いつの間にか互いだけが特別になっていた二人の、恋人になる前と、そのあとの日々を綴る短編連作。
◆成人男性同士。各話によって時系列・関係性が前後します。
◇基本一話完結。日常・任務・恋愛・成人向けエピソードなど内容はさまざまです。
各話冒頭に関係性・性描写等の簡単な案内がありますので、お好きなお話からどうぞ。
◆公開済み短編『命令違反にはお仕置きを。』の再録を含みます。
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まあ、別にそれはいい。教官のことは好きだし、居心地もいい。
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なのに、気づけばカメラには教官ばかり。誘われても「なんか違う」。
何となく帰る先も教官の家。
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拾って、守って、面倒を見てきた相手を、それ以上の意味で望んでいいはずがない。
……どうやら教官は、ニコを好きになってはいけないらしい。
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◇基本一話完結。日常・任務・恋愛・成人向けエピソードなど内容はさまざまです。
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