限界勇者のスローライフ〜田舎でのんびり暮らそうと思ったら、元魔王を拾ってしまった件〜
勇者クウトは限界だった。
現代日本から転生して140年。そのうち130年余りを戦いに費やしてきた。
しかも、魔王を倒して120年は年中24時間営業状態である。
「さすがにこれは、ちょっとおかしくないか?」
ちょっとズレている勇者は、疲れ果てた精神でようやくそのことに気づく。
自分を道具としてしか見ていない、かつての仲間の子孫にも飽き飽きだった。
会議の場で引退を宣言し、勇者の証も放棄。清々しく立場を強引に捨てることに成功する。
遂に手に入れた自由な日々。そんなクウトの前に、運命の女神が現れる。
彼女こそが、彼を現代日本から異世界に転生させた張本人だった。
想像よりも酷い状況を見て、女神はクウトに新たな力を授ける。
「とりあえず、スローライフでもしてなさい」
そんな言葉と共に送り出された元勇者は、田舎でのんびり暮らすべく新生活を開始する。
しかし、そんな彼の前に現れたのは別世界に行って二代目魔王。
似たような事情を抱えた彼女の話を聞き、クウトは同居生活を提案する。
無理のない範囲での畑仕事(48時間連続労働)。
冒険者としての活動(やりすぎ)。
町の人々との触れ合い(ここは普通)。
苦戦しつつも普通の生活を過ごしていくうちに、二人は失っていた穏やかな日々を少しずつ手に入れていく。
たまに起きるトラブルは、その有り余るパワーで粉砕しながら……。
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