黙の月 一千年の孤独を、愛せ。



「世界より、おまえが先や。
たとえ“神”を敵に回しても、おまえを護る」

千年の孤独に選ばれた“器”と、
その魂を喰らう“狼”の番契り。

宗像志貴は、黄泉使いの名門に生まれた少女。

血に刻まれた“王の痣”。
魂を制御する仮面と香。
そして、右肩に疼く“神の刻印”。

彼女は、ただの人間ではない──
生まれながらに、千年を巡る“名を口にしてはならぬ神”の器だった。

そんな志貴を護る番は、
狼の仮面を被る最強の黄泉使い 宗像一心。

優しさは毒となり、
赦しは檻となり、
魂を交わすたび、志貴は壊れていく。

「壊れてもええ。俺の腕の中でだけ、壊れていけ」

彼が抱くのは守護か、それとも──執着という名の呪いか。

仮面が罅割れ、炎が揺らぎ、黄泉が開く。
やがて現れるのは、世界を“幻”に変える影──Veilmaker(ヴェイルメイカー)。

番の契りも、愛も、赦しも、運命さえも──
すべては奴の手のひらの上。

だが一心は、言い切る。

「最大多数の幸福など知らん。
おまえのいない世界なんか、捨てたる」

黄泉使い × 神話幻想 × 番地獄。
血と香に縛られた少女が、
世界の理と命を超えて、番とともに堕ちていく。

──これは、“愛”とは呼べないほど重く、狂おしい魂の物語。



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