少年賢者とアラサーの剣聖お姉さん
勇者の活躍を描いた冒険物語が大好きな、小さな村の少年アルト(五歳)。そんなアルトが住む村はある日、魔物の群れに襲われてしまう。アルトは母親に連れられて逃げ出そうとするが、魔物に追いつかれて殺されそうになる。だがそこに、一人の少女が颯爽と現れた。少女は華麗な剣術で、魔物たちをあっという間に倒してしまう。剣聖イーリス──それが少女の呼び名だった。その強く美しい少女の姿は、少年アルトの目に憧れとともに焼き付けられた。
剣聖イーリスに、物語の勇者の姿を重ねて憧れたアルトは、自分もそのようになりたいと願い、努力した。やがて自分に剣の才能がないことを知ったアルトは、十歳の加護識別の儀にて「剣聖」とも並ぶ「賢者」の加護を得て、魔法の道へと進む。神童と呼ばれながらも驕らずに修練を怠らず魔法の力を修めたアルトは、十五歳で冒険者ギルドを訪れる。
一方その頃、剣聖イーリス(二十七歳)は行き遅れに悩んでいた。冒険者一筋で色恋を捨ててきた剣聖は、冒険者ギルドの酒場でくだを巻く。「恋愛とか結婚って、そんなに大事かなぁ。行き遅れってそんなに悪いこと?」「あんたまたその話? 今年に入ってから何度目よ」 十年来の付き合いである親友からそう突っ込まれ、大きくため息をつく剣聖二十七歳。
その冒険者ギルドに、賢者のローブをまとった一人の少年が入ってきた。少年賢者の可愛らしくも真面目そうな姿は、イーリスの好みのド真ん中。しかも彼は、イーリスのもとにやってきて言う。「俺、イーリスさんに憧れて、イーリスさんみたいなすごい冒険者になりたくて、ずっと頑張ってきました! こんなところで出会えるなんて、思ってもいませんでした! 感激です!」「は、はあ……」 そして状況を面白がったイーリスの親友は、自分たちのパーティに入らないかと少年を誘い──
剣聖のお姉さんに憧れる少年賢者と、その少年にほのかな恋心を抱く剣聖二十七歳。矢印が微妙にすれ違うドタバタファンタジーラブコメディ!
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