空賊風水師は、幸いの竜に乗って空を翔ける

 神は聞いた。「なぜ空賊になることを望むのですか」
 俺は答えた。「ビルから飛び降りた瞬間、身体全身で感じた風が忘れられないからです」


 この世界の神が企画した『自ら命を絶った100人に来世は幸せを』キャンペーンに当選した俺は、来世をファンタジーの異世界で送ることになった。

 神は100人の当選者達が生きやすいようにと、天職を選ぶ権利を与えていた。

 なんと100人目の当選者であった俺には、最後のひと枠「風水師」しか天職が残っていなかったが、神の思し召しで空賊×風水師のダブルジョブを手に入れた。


 俺たちが転生する異世界にも神はいて、100人の転生者を迎え入れる代わりに条件を課していた。


①転生者は自ら魔力を生成できず、パートナーを介して魔力を補給すること。

②パートナーを一度決めたら変更することは出来ない。

③パートナーが命を落とせば転生者も死ぬ。また、パートナーとの繋がりを示すアーティファクトが破壊されても転生者は死ぬ。

④100人の転生者のうち、最後まで生き残ったものは、どんな望みでも叶えられる。


 前途多難な予感を抱きながら転生した俺は、前人未到の秘境で目を覚ます。

 風水師の才能を早速活用しながらサバイバルをしていると、一匹のドラゴンが生まれる瞬間に立ち会うことができた。
 驚くことに、ドラゴンは生まれた直後から人の言葉を話した。

 ドラゴンにサティと名付け、僻地で生活をしていたが、サティはみるみる大きく育っていく。十分に空を飛ぶことが出来る様になったサティに乗って、俺はついに異世界の街へ辿り着いた。

 俺のパートナーとなったサティは、人の姿に変身することが出来るようになっていた。
 そして、サティは、ドラゴンの中でも幻の存在「幸いの竜」であったことが判明する。

 俺とサティは、サティの親を探すために、異世界を旅することを決めたのだった。

 しかし、異世界の神が課した条件により、世界の各地で転生者達による熾烈な生き残り戦が始まっていた。

 
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