スプーキー𖤐マジックウォーズ!

赤い月がのぼるとき、魔法師のためだけのすばらしい夜が幕をあける!

「さあ、ポインセチア。
 いつものように、お前の大好きな昔話をしてあげよう。
 赤い満月の夜に行われる、魔法師のための祭典。
 そのはじまりの物語を」 

 赤い月が笑う夜。
 魔法師たちのための、一夜のみの大魔法戦争がはじまる。 

 黄金の月は、非魔法師のための月。
 赤い月こそ、魔法師のための月。

 大魔法戦争が行われる一夜には、ふたつの月が空に浮かぶ。
 誰が赤い月を、いつ浮かべたのかはわからない。
 赤い月には魔力がある。
 月は、魔法師たちを見守っているのだ、といわれている。
 月が、悪い魔法師をやっつけてくれているともいわれている。



 ポインセチア・プリンガレットは、月光に透ける銀色のセミロングに、夏の海を映したような瞳を持ち、まるで、セルロイド人形のような見た目だといわれる。
 まあ、最後にいつも、よけいな一言をつけくわえられるのだけれど。

「プリンガレットの跡取りはしゃべらなければ、とても美しい娘なのになあ」

 だが、そんなものは、ポインセチアのつややかな心に、一太刀もいれることなどできない。
 ポインセチアには今、その心をしめてならないものがあるだから。

 ついに、はじまったのだ。

「大魔法戦争!!!!!
 きたのだな! ついに!
 この、ポインセチア・プリンガレットの時代が!」

 ポインセチアは、貴族風のよそおいを着こんだ上から、紺色のローブを羽織った。
 プリンガレット家に由緒正しく伝わる、伝統の衣装。
 これぞ、魔法師基本のよそおい。

「大魔法戦争で、蜜の紋章を勝ち取るのは、この私だ!」

 この大魔法戦争に勝ち残った魔法師は、「願いごとをひとつだけ叶えられる」。
 ポインセチアには、ぜったいに叶えたい願いがあった。

 それは、「宇宙一の魔法師になって、歴史上にポインセチア・プリンガレットの名を刻み、魔法史学の教科書に載ること」!

「うちのおじいさまなんかよりもすごい魔法師になるんだ。
 高みを目指すものに、運命はほほ笑む。
 私は、歴史に名を残す大魔法師になる!」

 今ここに、
 ポインセチア・プリンガレット最強魔法師物語がはじまろうとしていた!

表紙イラスト ノーコピーライトガールさま
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