【完結】凶賽――奇兵隊・裏始末――
慶応元年、下関。
腐った雨が、土を抉っていた。
久坂部鋭は、闇の中にいた。
手には、血の濡れた刀。
足元には、物言わぬ骸。
そこに、一人の男が現れた。
高杉晋作。
男は、一個の象牙の賽を投げた。
「これはイカサマの賽だ。必ず『一』が出る」
高杉は笑った。
その目は、凍りついた狂気を孕んでいた。
「俺たちは、イカサマで勝つ。鋭、お前は影を掃け」
それが、地獄への招待状だった。
志士たちが黎明を語る裏で、鋭は「始末屋」となった。
奇兵隊の秩序を乱す者、夢に敗れた者、そして、正しすぎた友。
鋭はそれらを、音もなく斬り捨てる。
喉を焼く安酒。
硝煙の噎せ返る匂い。
斬った肉から伝わる、重い衝撃。
高杉が去り、時代が色を変えても、鋭の掌には賽が残った。
重心の狂った、呪いの賽だ。
これは、明治という光に背を向けた、男たちの死に様の記録。
腐った雨が、土を抉っていた。
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手には、血の濡れた刀。
足元には、物言わぬ骸。
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「これはイカサマの賽だ。必ず『一』が出る」
高杉は笑った。
その目は、凍りついた狂気を孕んでいた。
「俺たちは、イカサマで勝つ。鋭、お前は影を掃け」
それが、地獄への招待状だった。
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